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03 ・ システム開発

ホテルのシステム開発で先に決める4つの注意点|PMSは残して隙間を作る

公開:更新:執筆:AI が下書き監修:YW(CONFLUX PARTNERS)

青い作図線が引かれた製図用紙の上に、真鍮のコンパスが立っている。
AI で生成したイメージです。

ANSWER ・ 結論

ホテルのシステム開発は、今のPMSと予約サイトを残し、足りない所だけを作ると費用と期間を抑えられます。

対象読者この記事は、IT の専任者がいない従業員10〜100名のホテル・旅館で、予約・客室・お客様の情報を Excel や紙で書き写している経営者・支配人向けです

※ 2026年10月時点の情報です

システム開発の記事の全体は、システム開発の記事の一覧にまとめています。

このページの内容8 章
  1. 01ホテルのシステム開発で作るのはPMSと現場の隙間の仕組み
  2. 02既製のPMSで足りるホテルと作る候補になるホテルの分かれ道
  3. 03予約サイトやPMSとつなぐ前に決める4つの注意点
  4. 04宿泊の問い合わせ対応をAIに任せられる範囲
  5. 05ホテルのシステム開発の費用と期間の目安
  6. 06ホテルが相談から使い始めるまでの流れ
  7. 07よくある質問
  8. 08まとめ: PMSは残し、予約の取り込みから足す

先に決めるのは、つなぐ範囲・宿泊者名簿の項目・連携先の仕様変更・ソースコードの権利の4つです。

この記事では、ホテルや旅館で作ることが多い仕組みと、既製のPMSで足りる宿の見分け方を説明します。費用と期間の目安も、当社の案件の記録から出した値でまとめます。

※ 費用と期間は、当社の2026年9月までの案件の記録から出した値です。法令は2026年10月31日に e-Gov で確かめました。

ホテルのシステム開発で作るのはPMSと現場の隙間の仕組み

ホテルのシステム開発で作ることが多いのは、PMSと予約サイトでは手が届かない、現場の転記を減らす小さな仕組みです。予約の台帳そのものを作り直す案件は多くありません。

ホテルのシステム開発とは、予約・客室・お客様の記録を、宿の手順に合わせた仕組みでつなぐことです。PMSとは、予約・客室・精算を管理する宿泊施設向けの既製の管理システムを指します。

ホテルや旅館では、予約サイト・PMS・清掃の表・顧客の台帳が別々に動きがちです。同じ予約を何か所にも書き写すほど、フロントの時間が取られます。

作ることが多い仕組みと、減らす作業を表にまとめます。

仕組み 減らす作業 人が残す判断
予約の取り込みと一覧 予約サイトの内容をExcelに写す 例外の予約を受けるか
清掃と客室の状態 清掃の済んだ部屋を電話で伝える どの部屋から案内するか
顧客の台帳 前回の要望を紙の記録から探す 次の滞在で何を用意するか
問い合わせの下書き よくある質問に毎回一から返す 返す内容の最終確認

当社の判断では、ホテルが最初に作るなら予約の取り込みと一覧です。予約の情報は、清掃・顧客の台帳・問い合わせのすべてで使い回すためです。予約が1か所に集まれば、残りの仕組みは同じ情報を読むだけで作れます。

予約の仕組みは、他社が作ったものを引き継ぐ相談も多い分野です。当社は2024年から2026年9月までに、他社が開発した顧客管理・予約システム(CRS)を保守ごと引き継ぎ、機能を追加した案件を6件手がけました(出典: 自社実績・2026-10時点)。

既製のPMSで足りるホテルと作る候補になるホテルの分かれ道

手順が一般的なホテルは既製のPMSの設定で足り、Excelへの転記や独自の手順が残るホテルは小さな仕組みを作る候補になります。作るのは、宿の手順が他の宿と違う業務だけに絞ります。

既製のPMSのまま・PMSに小さな仕組みを足す・業務システムを作るの3つを、向く宿と費用と期間で比べた表の図

当社は2021年から2026年9月までに、要件が一般的な勤怠・会計だったため、既製の SaaS を勧めた案件が4件あります。社内にエンジニアがいて改修が多いため、内製化を支援した案件も2件あります(出典: 自社実績・2026-10時点)。

宿の状況ごとの分かれ道は、次のとおりです。

  • 客室が少なく、予約から精算までの手順が一般的なら、既製のPMSの設定を見直してください
  • PMSはあるが、予約や清掃をExcelに写す作業が毎日残っているなら、PMSに小さな仕組みを足す候補です
  • 連泊の割り振りや食事の手配など、宿独自の手順が多いなら、業務システムを作る候補です
  • 今の仕組みに足りない機能が1つだけなら、作り直さずに改修の見積りと比べてください

2つ以上に当てはまるなら、月にかかっている時間が長い業務から先にしてください。予約の転記と清掃の連絡が同じくらいなら、予約の取り込みを先にします。

当社の判断では、1つの業務に月10時間以上かかっているなら、システムにする候補になります。2025年11月に飲食店(3店舗)のシフト表をシステムにした例では、作成が月約10時間から約2時間になりました(費用50万〜80万円、出典: 自社実績・2026-10時点)。

ただし、ホテルでの実測は、当社にはまだありません。月10時間の目安は、飲食店1件で月約8時間が浮いた実測をもとにした、当社の判断です。

ホテルに当てはめるときは、自社の月の時間を数えてから比べてください。月10時間に届かない業務は、作らずに Excel の項目と手順をそろえる判断もあります。

PMSの乗り換えを考えるのは、設定を見直しても転記が残り、提供会社の追加機能でも足りないときです。追加機能で足りるなら、作らずにそちらを選んでください。

仮に、予約1件の転記に5分かかり、月に150件の予約を写しているとします。月約12.5時間を転記に使っている計算で、月10時間の目安を超えます。

作るか社内で育てるかで迷うなら、システム開発の内製と外注は4つの条件で決めるも参考になります。

予約サイトやPMSとつなぐ前に決める4つの注意点

ホテルのシステム開発で見積りが動きやすいのは、つなぐ範囲・宿泊者名簿の項目・連携先の仕様変更・ソースコードの権利の4つです。どれもフロントには当たり前で、打ち合わせで言葉になりにくい項目です。

予約サイトとつなぐ前に、決めずに頼む場合と先に決めて頼む場合を左右に比べた図

私がこれまでに手がけた案件は500件以上あり、そのうち34件は契約後の仕様変更で追加の見積りになりました。34件(2022年4月〜2026年9月)の追加額は、10万〜180万円(中央値 約35万円)です(出典: 自社実績・2026-10時点)。

この34件は業種を問わない数字で、ホテルだけの数字ではありません。ホテルでも、決め漏れが追加の見積りになりうる目安として読んでください。

4つの注意点と、打ち合わせの前に数えておくことを表にまとめます。

先に決めること 決めておくと防げること 数えておくこと
つなぐ範囲 予約サイトの項目が途中で増える 使っている予約サイトとPMSの数
宿泊者名簿の項目 名簿だけ紙に戻る 名簿に書いている項目の数
連携先の仕様変更 連携が止まり公開が遅れる 外からデータを取る先の数
ソースコードの権利 別の会社に改修を頼めない 今のシステムの契約書の有無

つなぐ範囲(予約サイト・PMS・サイトコントローラー)

サイトコントローラーとは、客室の在庫と料金を複数の予約サイトへまとめて配る仕組みです。予約の情報を取り出す先が、PMSなのかサイトコントローラーなのかで、作り方が変わります。

使っている予約サイトとPMSを一覧にし、どこから予約を取り出すかを先に決めてください。取り出せる項目と方法は、各サービスの提供会社に聞いて確かめます。

宿泊者名簿の項目

旅館業法第6条は、営業者に宿泊者名簿を備え、氏名・住所・連絡先などを記載するよう定めています。都道府県知事の求めがあれば、名簿を提出しなければなりません(出典: e-Gov 法令検索「旅館業法」・2026年10月31日確認)。

厚生労働省のQ&Aでは、旅館業を「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と説明しています(出典: 厚生労働省「民泊サービスと旅館業法に関するQ&A」・2026年10月31日確認)。

顧客の台帳を作るなら、名簿の項目と台帳の項目を同じ画面で扱うかを最初に決めてください。名簿に載せる事項の細かな定めは、施設のある自治体の保健所で確かめます。

連携先の仕様変更

予約サイトやPMSの連携の方法は、提供会社の都合で変わることがあります。2025年の案件では、外部APIの仕様変更で連携部分が動かず、納期の2週間前に判明しました。

私は納期の問題でこれ以上遅らせないため、機能を段階的に出す形に切り替えました。主要な機能を予定日に公開し、残りを3週間後に納品しています。外とつなぐ機能は、先に出す機能と後から出す機能に分けて計画してください。

ソースコードの権利と資料

今の予約や顧客管理の仕組みを他社が作っているなら、改修を頼む前にソースコードの権利を確かめます。2025年4月、飲食店(5店舗)の予約システムを引き継いだところ、ソースコードの権利が前の開発会社に残っていて改修できませんでした。

私は権利の譲渡を交渉するより作り直すほうが早いと判断し、3か月で新しく作り直しました。改修で済ませたい宿ほど、契約書でソースコードの権利の持ち主を先に確かめてください。

資料の有無でも費用は変わります。2023年から2025年に当社が引き継いだ6件のうち、資料が無かった4件では、調査に合計約25人日(1件あたり4〜9人日)が追加でかかりました(出典: 自社実績・2026-10時点)。

宿泊の問い合わせ対応をAIに任せられる範囲

ホテルがAIに任せやすいのは、問い合わせメールへの一次返信の下書きを作り、フロントが確かめて送る作業です。送る前に人が確かめる工程は残します。

あわせて製造業のAI導入事例は?もご覧ください。

当社が2024年から2026年9月までに支援したAI導入16件のうち、ホテルは3件で、3件とも問い合わせ対応の自動化でした(出典: 自社実績・2026-10時点)。

AIで問い合わせの一次返信を自動化した案件では、1件約10分かかっていた返信が、確認だけの約2分になりました(2025年8月〜10月に測定、出典: 自社実績)。

この測定は問い合わせ対応の1つの案件の値で、ホテル3件の平均ではありません。当社のホテルの案件は、問い合わせ対応の3件だけです。予約の取り込みやPMS連携の実績は、ホテルではまだありません。

AIの下書きは、予約の情報と館内の案内がそろっているほど正確になります。予約が Excel や紙に分かれているなら、先に予約の取り込みと一覧を作ってください。

私は自動化を、進める仕組みと止める仕組みを一組で作り、人が確認する工程から段階的に広げています。ホテルでAIに任せる仕事の選び方は、ホテルのAI導入事例は?で詳しく説明しています。

顧問パッケージの内容と料金を見る →ここまでの内容が自社に当てはまるか、確認しませんか。要件の確認だけでもご利用いただけます

ホテルのシステム開発の費用と期間の目安

ホテルの業務システムの費用は、当社の代表的な12件で80万〜800万円、中央値は約220万円でした。金額の幅を決めるのは、つなぐ先の数と、宿独自の手順の数です。

費用の目安については、製造業のシステム開発で抜けやすい5つの要件と費用・期間の目安にまとめています。

代表的な12件は、2022年から2026年9月までの案件です。業種がばらけるように選び(製造業・人材・飲食・卸売・サービス・医療)、同じお客様の案件は1件にまとめました(出典: 自社実績・2026-10時点)。

この12件にホテルの案件は入っていません。ホテルの費用は、業種を問わない相場として読み、見積りで確かめてください。

種類 費用の目安(代表的な12件) ホテルでの例
業務システム 80万〜800万円 予約・清掃・顧客の台帳をまとめる
SaaS型の小規模なシステム 80万〜300万円 予約の取り込みと一覧だけを作る
AI導入の試行(PoC) 50万〜200万円 問い合わせの返信の下書きを試す

ホテルのシステム開発の費用をAIに聞いても、金額は出てきませんでした。当社は2026年10月に、1つのAI(Gemini)へ本記事の論点5問を聞き、答え5件を数えました。5件の答えのうち、触れていたのは費用の金額(◯円)は0件、進め方の手順は0件、専門家への相談は0件でした。(出典: 当社調べ)

同じ調べでは、5件の答えの出典に挙がったページは8件で、公的機関・学会・業界団体が0件、ニュース・メディア・まとめが1件、ポータル・比較サイトが1件でした。(出典: 当社調べ)

AIの答えだけでは金額や手順が分からないため、当社の判断では見積りは開発会社から取ってください。

開発期間は、同じ代表的な12件で1.5か月〜8か月、中央値は4か月でした。規模別には、2020年から2026年9月までの代表的な案件(各5件)で見ています。小規模(予約・管理画面など)は1.5〜3か月でした。中規模(業務システム)は4〜8か月です(出典: 自社実績・2026-10時点)。

予約の取り込みと一覧だけなら小規模の帯、予約から清掃・顧客の台帳までをまとめるなら中規模の帯に入ると見てください。繁忙期の前に使い始めたいなら、中規模は8か月、小規模は3か月を見込んで逆算します。繁忙期が始まるその月数より前に、相談を始めてください。

見積りの内訳の読み方は、業務システム開発の費用は何で決まる?で説明しています。

自社で使えるか、相談する →予約の転記・清掃の連絡・問い合わせの返信のうち、どの業務に時間がかかっているかをうかがい、システムにすると楽になるところと費用・期間の目安をお伝えします。全国オンラインで対応します。

ホテルが相談から使い始めるまでの流れ

ホテルのシステム開発は、業務と件数の聞き取り・つなぐ範囲と見積り・小さな試作・開発と移行・定着と保守の5段階で進めます。試作でフロントや客室係が触ってから、残りを作ります。

ホテルのシステム開発を、業務の聞き取りから稼働後の保守までの5段階に分けた流れの図

5段階で決めることを表にまとめます。

段階 決めること 宿で用意するもの
業務と件数をうかがう 対象の業務と月の件数 月の予約件数と転記の時間
つなぐ範囲と見積りを決める 4つの注意点の扱い 予約サイトとPMSの一覧
小さく試作する 画面と項目の過不足 試すスタッフ1〜2名
開発と移行 今の台帳からの移し方 今の Excel と顧客の記録
定着と保守 手順書と改修の窓口 質問をまとめる担当者

変更の決め方も最初にそろえておきます。2024年2月、人材サービスの会社(従業員約30名)の勤怠システムで、仕様変更が口頭のやり取りだけで進み、納品の直前に「言った・言わない」になりました。

私は変更点を一覧にして双方で確かめ直すと判断し、納期を1か月延ばして納品しました。以後、変更はすべて書面で残す運用にしています。宿の側でも、変更を伝える担当者を支配人など1名に決めておくと進めやすくなります。

予約サイトとPMSの一覧を渡さずに見積りを頼むのはNG

起きること: 開発の途中でつなぐ先や名簿の項目が見つかり、追加の見積りになります。
原因: フロントにとって当たり前の作業が、打ち合わせで言葉にならなかったためです。
うまく進める方法: 使っている予約サイトとPMS、名簿の項目を一覧にしてから見積りを頼みます。

見積りを頼むときは、各社に次の3つを同じ形で聞いてください。

  • 予約サイトやPMSのうち、見積りでつなぐ先に入っていないのはどれですか
  • 連携先の仕様が変わったとき、直す費用は保守に含まれますか
  • ソースコードの権利と設計資料は、契約のどこに書かれますか

3つの質問に書面で答えない会社や、答えが各社でそろわない見積りは、契約を見送る判断材料になります。答えの並べ方は、システム開発の見積もり比較はどこを見る?で説明しています。

今日できる一歩として、まず予約1件の転記に何分かかり、月に何件あるかを確かめてください。あわせて、使っている予約サイトとPMSの名前を書き出します。

転記の時間とつなぐ先の数が分かれば、作る範囲の候補が1つに絞れます。頼める範囲はシステム開発のサービスにまとめています。

自社で使えるか、相談する →予約・清掃・顧客の台帳・問い合わせのうち、いちばん手間のかかっている業務をうかがい、作るものと作らないものの分け方をお伝えします。ご契約を前提としたご案内ではありません。何を頼むか決まっていなくても大丈夫です。

よくある質問

IT担当がいないホテルや旅館でも、システム開発を頼めますか?

頼めます。宿で用意するのは、予約から清掃までの手順を説明できる担当者です。設計と保守は開発会社が受け持ちます。

今のPMSや予約サイトは、入れ替えないといけませんか?

入れ替えずに始められます。PMSからデータを取り出せる範囲を確かめ、足りない所だけを小さな仕組みで補います。

ホテルの業務システムは、頼んでからどのくらいで使えますか?

当社の代表的な12件(2022年〜2026年9月)では開発期間は1.5か月〜8か月で、中央値は4か月でした。

ホテルがシステム開発を見送ってよいのは、どんな場合ですか?

予約から精算までの手順が一般的で、既製のPMSの機能で足りている場合です。作らずに設定を見直してください。

開発会社に頼むと、どこまでしてもらえますか?

業務の聞き取り、つなぐ範囲の整理、試作、今のExcelからのデータ移行、稼働後の保守と改修まで頼めます。

ホテルのシステム開発の費用は、どのくらいですか?

当社の代表的な12件では、業務システムが80万〜800万円でした。ホテルの案件は含みません。

まとめ: PMSは残し、予約の取り込みから足す

ホテルのシステム開発は、つなぐ範囲・宿泊者名簿の項目・連携先の仕様変更・ソースコードの権利の4つを決めてから頼むと、追加の費用を抑えられます。業務システムの費用は、当社の代表的な12件で80万〜800万円でした。

PMSと予約サイトは残し、予約の取り込みと一覧を先に作り、清掃・顧客の台帳・問い合わせを足していく。この順番なら、フロントの業務を止めずに Excel や紙の記録から移れます。AIで宿の仕事を減らす効き目は、ホテルのAI導入のメリットは?にまとめています。

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この記事を引用・紹介するとき

YW(CONFLUX PARTNERS)「ホテルのシステム開発で先に決める4つの注意点|PMSは残して隙間を作る」2026年10月31日公開、https://conflux-partners.jp/journal/hotel-system-development

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