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03 ・ システム開発

開発会社の見積もりがバラバラなときの判断基準4つ|安さで選ぶのはNG

公開:更新:執筆:AI が下書き監修:YW(CONFLUX PARTNERS)

青い作図線が引かれた製図用紙の上に、真鍮のコンパスが立っている。
AI で生成したイメージです。

ANSWER ・ 結論

開発会社の見積もりがバラバラなときは、いちばん安い金額ではなく、4つの基準で判断します。

対象読者この記事は、IT の専任者がいない従業員10〜100名の会社で、開発会社から見積りを受け取り、どこに頼むか決めかねている経営者・事業責任者向けです

※ 2026年11月時点の情報です

システム開発の記事の全体は、システム開発の記事の一覧にまとめています。

このページの内容9 章
  1. 01開発会社の見積もりの開きは何倍かで読み方が変わる
  2. 02受け取った見積りを費用と期間の帯に当てはめる
  3. 03作る範囲の一覧が各社で同じかを確かめる
  4. 04仕様変更の追加費用がどう決まるかを確かめる
  5. 05期間と体制が作る量に見合っているかを見る
  6. 06安い見積り・高い見積り・出し直しを選ぶ条件
  7. 07見積りの判断で先に決めておくとよいこと
  8. 08よくある質問
  9. 09まとめ: 見積りは倍率と範囲をそろえてから選ぶ

開きの倍率、費用と期間の帯、作る範囲と追加費用の条件、期間と体制の4つです。金額の差は、会社の良し悪しより「何を作る前提で出したか」の差から生まれます。

この記事でわかること

  • 見積りの開きが何倍かで、疑うところが変わる理由
  • 代表的な12件の費用と期間の帯への当てはめ方
  • 仕様変更の追加費用を、見積りの段階で確かめる方法
  • 安い見積り・高い見積り・出し直しを選ぶ条件

※ 費用と期間の数字は、CONFLUX PARTNERS の2026年9月までの案件の記録にもとづきます。

開発会社の見積もりの開きは何倍かで読み方が変わる

見積りの開きが2倍以内なら単価と余裕の差、2倍を超えるなら作る範囲の読み違いを先に疑います。合計の金額を並べる前に、最も高い見積りが最も安い見積りの何倍かを計算してください。

開きの倍率を見てから、帯に当て、条件をそろえ、期間を確かめ、選ぶまでの順番

見積りの開きとは、同じ依頼に対して複数の開発会社が出した合計金額の差のことです。この記事では、最も高い金額を最も安い金額で割った倍率で表します。

私は2003年にHP制作会社を創業し、事業の経営を23年続けてきました。2022年から2025年までは、AI・システム開発会社2社の代表取締役として、見積りを出す側にいました。

2倍という線は、当社の判断の目安です。理由は、代表的な12件の幅にあります。業務システムの費用は80万〜800万円と、10倍の幅がありました(2022年〜2026年9月)。

作る範囲が変わると、金額は2倍どころか桁で変わります。だから大きな開きは、まず範囲の違いとして読みます。単価の違いだけで、合計が2倍を超えて開くことは少ないためです。

開きの読み方は、次の表のとおりです。

開きの倍率 先に疑うこと 最初に各社へ聞くこと
1.5倍まで 単価と余裕の積み方の差 人数と期間の内訳
1.5〜2倍 保守・導入を含めるかの差 金額に含まれない作業
2倍を超える 作る範囲の読み違い 作る機能の一覧

まず、手元の見積りの最高額を最低額で割ってください。その数字が、どこから確かめるかを決めます。相見積もりの頼み方と見積書の並べ方は、システム開発の見積もり比較の進め方で説明しています。

受け取った見積りを費用と期間の帯に当てはめる

受け取った見積りは、似た規模の案件の費用と期間の帯に当てはめ、帯から大きく外れた見積りの理由を聞きます。帯の中にある見積りどうしは、金額より条件で比べます。

業務システム・SaaS型の小規模なシステム・AI導入の試行の費用の上限を比べた棒グラフ

2022年から2026年9月までの代表的な12件の費用は、次の表のとおりです。12件は業種がばらけるように選び(製造業・人材・飲食・卸売・サービス・医療)、同じお客様の案件は1件にまとめました。

種類 費用の下限 費用の上限
業務システム 80万円 800万円
SaaS型の小規模なシステム 80万円 300万円
AI導入の試行(PoC) 50万円 200万円
上の表の『費用の下限』と『費用の上限』をグラフにしたもの費用の下限費用の上限業務システム80万円800万円SaaS型の小規模なシステム80万円300万円AI導入の試行(PoC)50万円200万円
上の表の『費用の下限』と『費用の上限』をグラフにしたもの

12件の費用の中央値は約220万円、開発期間は1.5か月〜8か月(中央値4か月)でした。

期間の帯もあわせて見ます。2020年から2026年9月までの代表的な案件(各5件)では、小規模(予約・管理画面など)で1.5〜3か月でした。中規模(業務システム)は4〜8か月です。

帯は、見積りの正しさを決める線ではありません。帯から外れた見積りに理由を聞くための目安です。理由が説明できる見積りは、帯の外でも候補に残せます。

  • 帯の中に全社が入るなら、金額の差は小さいので、作る範囲と追加費用の条件で比べてください
  • 1社だけ帯より大きく安いなら、作る範囲が狭く読まれていないかを、機能の一覧で確かめてください
  • 1社だけ帯より大きく高いなら、他社が入れていない導入・保守・データの移し替えが含まれていないかを聞いてください

費用が何で決まるかの基本は、業務システム開発の費用の内訳で人月の考え方から説明しています。

作る範囲の一覧が各社で同じかを確かめる

金額を比べる前に、各社が作る機能を一覧にし、同じ一覧になっているかを確かめます。一覧が違う見積りどうしは、金額を比べても判断の材料になりません。

私は開発会社の側として、契約に書いていないことは作った側に残る前提で契約書を読んでいました。見積りも同じで、一覧に書かれていない機能は「作らない」と読むのが安全です。

範囲の抜けは、見積りの段階より後に分かると費用が大きくなります。2023年6月、製造業の会社(従業員約80名)で、前の開発会社が作った在庫管理システムに「拠点間の移動」の要件が抜けていました。月末の棚卸しで数字が合わない状態が続いていた案件です。

私は作り直しではなく、移動の登録画面を足す改修で対応すると判断しました。2か月・追加約120万円で解消しています。最初の範囲の一覧に「拠点間の移動」が書かれていれば、見積りの段階で入れられた要件でした。

範囲を確かめるときは、各社の見積書から次の3つを書き出してください。

  1. 作る画面と機能の名前
  2. 「別途」「対象外」と書かれた作業
  3. 今の Excel や紙のデータを移し替えるかどうか

3つを1枚の表に並べ、空欄を各社に質問して埋めます。空欄のまま比べると、書いていない会社のほうが安く見えます。

仕様変更の追加費用がどう決まるかを確かめる

見積りの金額と同じくらい、契約の後に仕様が変わったときの追加費用の決め方を確かめます。開発中の変更は珍しくないため、追加の決め方が書いていない見積りは、最終の金額が読めません。

私(YW)がこれまでに手がけた案件は500件以上あり、そのうち34件は契約後の仕様変更で追加の見積りになりました。34件(2022年4月〜2026年9月)の追加額は、10万〜180万円(中央値 約35万円)でした。

2022年1月から2026年9月までの開発案件約48件では、予定どおり終わったのは約30件でした。問題になったのは約7件で、内訳は遅れ1件・追加費用5件・やり直し1件です。約48件の中では、追加費用が問題の多くを占めていました。

追加費用は、見積りの段階で決め方を聞いておくと予算に組み込めます。各社に聞くことは次の3つです。

聞くこと 書面で残してほしい内容 答えで分かること
変更の受け付け方 誰が、どの書式で頼むか 口頭の変更で金額が動かないか
追加額の出し方 1日あたりの単価か、作業ごとの金額か 追加の金額を自分で見込めるか
小さな直しの扱い 金額に含まれる直しの範囲 どこから追加になるか

試算:仮に、追加の見積りが2回起きたとします。追加額の中央値の約35万円を2回分当てはめると、当初の金額に約70万円を足して予算を見込む計算になります。

当社では、開発中の変更点はすべて書面で残す運用にしています。

仕様を変えながら進める前提の契約なら、情報処理推進機構(IPA)が公開している情報システム・モデル取引・契約書(アジャイル開発版)が参考になります。

アジャイル開発版は、成果物の完成ではなく、作業の遂行に対価を払う準委任契約を前提としたモデル契約です。追加費用の決め方の答えが書面で返ってくる会社は、開発中の変更でも同じ手順で金額を出せます。

顧問パッケージの内容と料金を見る →ここまでの内容が自社に当てはまるか、確認しませんか。要件の確認だけでもご利用いただけます

期間と体制が作る量に見合っているかを見る

金額が安い見積りほど、開発期間と担当の人数が、作る機能の量に見合っているかを確かめます。期間が短すぎる見積りは、テストか導入の作業が削られていることがあります。

期間の目安は、先に挙げた帯を使います。中規模の業務システムで4〜8か月、小規模(予約・管理画面など)で1.5〜3か月です(2020年〜2026年9月の代表的な案件、各5件)。

試算:仮に、中規模の業務システムの見積りに期間2か月と書かれていたとします。中規模の帯の下限は4か月なので、帯の下限の半分の期間です。この見積りには、どの工程を何人で進めるかを聞いてください。

体制では、次の点を見ます。

  • 担当が1人だけなら、その人が休んだときに誰が対応するかを聞いてください
  • テストの期間が書かれていないなら、誰がどこまで試すのかを確かめてください
  • 導入の操作説明が無いなら、社内で使い始めるまでの手順を誰が作るかを決めてください

期間を守るための進め方も、見積りの段階で聞けます。たとえば、主要な機能を先に出し、残りを後から納める進め方です。機能を分けて出せる会社は、予定どおりに使い始められる範囲を相談できます。

安い見積り・高い見積り・出し直しを選ぶ条件

判断の道は、安い見積りを選ぶ・高い見積りを選ぶ・全社に出し直しを頼むの3つで、どれを選ぶかは範囲と条件のそろい方で決まります。金額だけで3つのどれかを選ぶと、使い始めてからの費用が読めなくなります。

安い見積り・高い見積り・出し直しを選ぶ条件を比べた表
条件 安い見積り 高い見積り 出し直し
範囲の一覧が他社と同じ 選べる 高い理由を聞く 不要
仕様変更の扱いが書面にある 選べる 選べる 書面を頼む
期間が帯より短い 見送る 比べる 期間を聞く
範囲が各社で違う 見送る 見送る 頼む

分かれ道ごとに、選び方をまとめます。

  • 範囲の一覧が同じで、仕様変更の扱いと保守の範囲が書面にあるなら、安い見積りを選んでください
  • 高い見積りに、他社に無い導入・保守・データの移し替えが入っているなら、その分を他社の見積りに足してから比べ直してください
  • 範囲の一覧が各社で違うなら、どの見積りも選ばず、同じ一覧を全社に渡して出し直しを頼んでください

2つ以上の条件に当てはまるなら、範囲の一覧のそろい方を先に見てください。範囲が違うままでは、ほかの条件をそろえても金額を比べられないためです。

合計の金額だけで1社に決めるのはNG

範囲の一覧と追加費用の決め方をそろえる前に決めると、使い始めてからの費用が読めません。先に一覧の空欄を埋めてから、金額を比べてください。

今は発注を見送ったほうがよい場合

作る業務がまだ決まらないなら、見積りの判断を見送り、業務の棚卸しから始めてください。範囲が決まらない見積りは、何度取っても金額がそろいません。

勤怠・会計のような一般的な業務なら、開発の見積りより既製のサービスを先に比べてください。当社では2021年から2026年9月までに、要件が一般的な勤怠・会計だったため既製のSaaSを勧めた案件が4件あります。

社内にエンジニアがいて改修が多いなら、外注より内製のほうが合う場合があります。同じ期間に、内製化を支援した案件が2件あります。内製と外注の分け方は、システム開発の内製と外注を分ける条件で説明しています。

今日やること

まず、手元の見積りの最高額を最低額で割り、開きの倍率を出してください。2倍を超えていたら、各社に作る機能の一覧を頼みます。

次に、各社に「仕様変更の追加額はどう決まりますか」と1行で聞いてください。答えが書面で返ってきた会社を、候補に残します。

自社で使えるか、相談する →お手元の見積書を拝見し、範囲の抜けと追加費用の条件を一緒に確かめます。何を頼むか決まっていなくても大丈夫です。

見積りの判断で先に決めておくとよいこと

見積りの判断を速くするには、社内で決める人と、作った後の権利と保守の条件を先に決めておきます。この2つが決まっていると、各社の見積りを同じ物差しで読めます。

決める人が決まっていないと、各社からの質問への回答が遅れます。回答が遅れた分だけ、見積りの前提が会社ごとにずれていきます。

権利と保守も、見積りの段階で聞いておくと判断が速くなります。ソースコードと設計書を受け取れるかで、将来ほかの会社にも改修を頼めるかが決まるためです。

2023年から2025年に引き継いだ6件のうち、資料が無かった4件では、調査に合計約25人日(1件あたり4〜9人日)が追加でかかりました。資料の引き渡しを見積りの条件に入れておくと、引き継ぎの手間を見込めます。

契約の条項を考えるときは、情報処理推進機構(IPA)が2020年12月22日に公開した情報システム・モデル取引・契約書(第二版)が参考になります。個別の契約の判断は弁護士に確認してください。

引き継ぎで確かめることは、システム保守を他社から引き継ぐ前に確かめることにまとめています。外注全体の注意点は、システム開発を外注するデメリットと対策で説明しています。

CONFLUX PARTNERS のシステム開発では、要件定義から保守まで、社内で使われ続ける形を一緒に整えます。

自社で使えるか、相談する →いまの業務の流れと受け取った見積りをうかがい、どこから確かめるかの目安をお伝えします。ご契約を前提としたご案内ではありません。

よくある質問

見積りの金額が2倍以上違うとき、まず何を確かめればよいですか?

作る範囲の一覧を各社から出してもらい、同じ一覧かを確かめます。範囲がそろうと、金額の差の多くは説明がつきます。

いちばん安い見積りを選んでもよいのは、どんな場合ですか?

範囲の一覧が他社と同じで、仕様変更の扱いと保守の範囲が書面にある場合です。3つがそろえば安い見積りを選べます。

見積りの出し直しを頼むと、開発会社に嫌がられませんか?

同じ範囲の一覧を全社に渡して頼めば、各社とも比べやすい形で出し直せます。出し直しは普通の進め方です。

小さく試してから本格的に頼むことはできますか?

できます。当社の2022年〜2026年9月の代表的な12件では、AI導入の試行(PoC)は50万〜200万円でした。

見積りの判断に迷ったら、相談してもよいですか?

構いません。手元の見積書と業務の手順を見せていただければ、範囲の抜けと追加費用の条件を一緒に確かめます。

まとめ: 見積りは倍率と範囲をそろえてから選ぶ

開発会社の見積もりがバラバラなときは、合計の安さで決めず、開きの倍率から確かめます。2倍を超える開きなら、作る範囲の一覧をそろえるところから始めてください。

倍率を出し、帯に当て、範囲と追加費用の条件をそろえ、期間と体制を確かめる。この順で進めると、使い始めてからの費用まで見込んで依頼先を選べます。ほかの記事はシステム開発の記事一覧にまとめています。

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この記事を引用・紹介するとき

YW(CONFLUX PARTNERS)「開発会社の見積もりがバラバラなときの判断基準4つ|安さで選ぶのはNG」2026年11月5日公開、https://conflux-partners.jp/journal/development-estimate-variance

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