AIエージェント開発の進め方5段階|仕様変更の追加費用を防ぐ決め方

ANSWER ・ 結論
AIエージェント開発の進め方は、任せる業務を1つ選ぶ・試作で確かめる・本番の仕組みにつなぐ・人が確かめながら使う・任せる範囲を広げる、の5段階です。
対象読者この記事は、IT の専任者がいない従業員10〜100名の会社で、AIエージェントの開発を外に頼むか検討している経営者・事業責任者向けです
※ 2026年11月時点の情報です
AI エージェントの記事の全体は、AI エージェントの記事の一覧にまとめています。
このページの内容10 章
最初から全部を自動にせず、人が確かめる工程を残して始めます。追加費用が出やすいのは、開発の途中の仕様変更です。当社では仕様変更で追加の見積りになった34件の追加額が、10万〜180万円(中央値 約35万円)でした(2022年4月〜2026年9月)。この記事では、5段階ごとに社内で決めることと、見送る判断の目安を説明します。
- AIエージェント開発の5つの段階と、段階ごとに決めること
- 試作(PoC)で確かめることと費用の幅
- 開発中の仕様変更で追加費用を出さない進め方
- 作った後も使い続けるために契約で決めること
- 開発に進む会社・見送る会社の分かれ道と今日やること
※ 当社の数字は2026年10月時点の自社実績です。
AIエージェント開発の進め方は5つの段階に分かれる
AIエージェントの開発は、業務の選定から範囲の拡大まで5つの段階に分けて、1段階ずつ確かめながら進めます。段階を分けると、途中で止める判断も、範囲を広げる判断もしやすくなります。

AIエージェントとは、指示を受けたAIが、メールを読む・社内の資料を調べる・別のシステムに入力するといった手順を、決められた順につないで進める仕組みです。1回答えて終わるチャットとは、複数の手順を続けて進める点が違います。
5つの段階と、各段階で社内が決めることは次のとおりです。
| 段階 | やること | 社内で決めること |
|---|---|---|
| 1. 業務を選ぶ | 任せる業務を1つに絞る | 1か月の件数と1件の時間 |
| 2. 試作 | 小さく作って確かめる | 試作の結果を誰が見るか |
| 3. つなぎ込み | メールや社内のデータとつなぐ | AIに見せてよいデータの範囲 |
| 4. 運用 | 人が確かめながら使う | 確かめる担当者と記録の方法 |
| 5. 拡大 | 任せる種類を増やす | 次に任せる業務 |
社内で決めることは、どれも IT の知識が要らない内容です。作る作業は開発会社が受け持ち、社内は業務の判断を受け持ちます。
段階1は任せる業務を1つ選び、件数と時間を数える
AIエージェント開発の最初の段階では、任せる業務を1つに絞り、1か月の件数と1件にかかる時間を数えます。数字があると、試作の範囲と、作る費用に見合うかを判断できます。
業務は1つに絞ってください。複数の業務を同時に始めると、どの業務で時間が減ったのかが分からなくなります。
当社が2025年から2026年9月までにAIエージェントで業務を自動化した8件では、問い合わせメールの一次分類と返信の下書きが1日2時間から30分になりました。日報の集計は、週3時間かかっていた作業が自動になりました。どちらも毎日か毎週発生し、手順が決まっている業務です。
任せやすい業務の条件は、AIエージェントの事例8件で、時間が減った業務と人の確認が残る業務に分けて説明しています。
段階2の試作(PoC)では、止める仕組みまで確かめる
試作(PoC)は、選んだ業務の一部だけを小さく作り、AIの出力が使えるかと、おかしな出力を止められるかの両方を確かめる段階です。出力が使えるかだけを見て本番に進むと、間違いがそのまま外へ出ます。
試作(PoC)とは、本格的に作る前に、小さな範囲で動くものを作って効果を確かめることです。PoC は「概念実証」を意味する英語の略です。
当社の代表的な12件(2022年〜2026年9月)では、AI導入の試行(PoC)の費用は50万〜200万円でした。12件は、業種がばらけるように選び、同じお客様の案件は1件にまとめています。
私たちは自動化を、「進める仕組み」と「止める仕組み」を一組で作ると決めています。人が確かめる工程から始め、確かめられた部分から自動に広げる進め方です。
当社が開発した「AIO(SEO)対策エージェント」は、記事づくりの7工程を毎日自動で進める仕組みで、提供はセブンセンシズ株式会社が行っています。品質の基準に届かない記事は、公開の手前で自動で止まります。試作でも、止める条件を1つ決めてから作ると、本番で人が確かめる量を見積もれます。
試作の結果を見る人は、その業務を普段している担当者にしてください。出力が業務で使えるかを判断できるのは、現場の担当者だけです。
費用の内訳は、AIエージェントの費用はいくら?で3つに分けて説明しています。
自社で使えるか、相談する →任せたい業務をうかがい、試作で確かめる範囲と、費用・期間の目安をお伝えします。何を頼むか決まっていなくても大丈夫です。
段階3は本番のメールやデータにつなぎ、機能を分けて出す
段階3のつなぎ込みでは、AIエージェントを社内のメールやデータにつなぎ、使い始める機能と後から足す機能を分けて進めます。外のサービスの都合で予定が変わっても、順番を組み替えられるためです。
当社のシステム開発の代表的な案件(2020年〜2026年9月・各5件)では、開発期間は小規模(予約・管理画面など)で1.5〜3か月、中規模(業務システム)で4〜8か月でした。AIエージェントの期間も、つなぐシステムの数と業務の範囲で変わります。
つなぎ込みでは、外のサービスの都合で予定が変わることがあります。2025年の案件で、私たちは納期の問題で計画を組み直しました。外部APIの仕様変更により連携部分が動かず、納期の2週間前に判明したためです。
外部APIの連携が動かなかった案件で、私は機能を段階的に出す形に切り替えると判断しました。主要な機能を予定日に公開し、残りを3週間後に納品しました。本番の段階でも、使い始める機能と後から足す機能を分けておくと、外の変更に合わせて順番を組み替えられます。
段階4は人が確かめて使い、直した割合で範囲を広げるか決める
段階4の運用では、最初は全件を人が確かめ、直した割合を記録して、範囲を広げるか止めるかを決めます。
確かめる担当者を1人決め、直した件数と理由を記録してください。問い合わせの一次返信を自動化した当社の案件では、1件約10分かかっていた返信が、確認だけの約2分になりました(2025年8月〜10月に測定)。
請求書の仕訳案の作成を自動化した案件では、月約20時間かかっていた作業が約5時間になりました(2024年10月〜12月に測定)。どちらも、人が一から作る仕事が、AIの案を読んで直す仕事に変わった例です。
段階5へ進む条件は、当社の判断で決めています。1か月分の記録で、直した割合が確認した件数の2割以下の種類だけを、確認を減らす候補にします。
直した割合が5割を超える種類は、範囲を広げずに試作の条件を見直します。5割を超えると、人が一から作る手間と変わらなくなるためです。
問い合わせ対応に絞った進め方は、問い合わせ対応の自動化はどこまでできる?で4段階に分けて紹介しています。
顧問パッケージの内容と料金を見る →ここまでの内容が自社に当てはまるか、確認しませんか。要件の確認だけでもご利用いただけます
開発中の仕様変更は書面で残してから作る
AIエージェント開発の途中で仕様を変えるときは、変更点を一覧にして書面で残し、金額と納期を双方で決めてから作ります。口頭のやり取りだけで進めると、納品の前に食い違いが見つかります。

当社がこれまでに手がけた案件は500件以上あり、そのうち34件は契約後の仕様変更で追加の見積りになりました。仕様変更で追加の見積りになった34件(2022年4月〜2026年9月)の追加額は、10万〜180万円(中央値 約35万円)でした。
当社は2026年11月に、2つのAI(ChatGPT・Gemini)へ本記事の論点5問を聞き、答え10件を数えました。ほかの論点を聞いた答え10件のうち、『仕様変更』に触れたものは0件でした。(出典: 当社調べ)
2022年1月から2026年9月までの開発案件約48件では、予定どおり終わったのは約30件でした。問題になった約7件の内訳は、遅れ1件・追加費用5件・やり直し1件です。約48件のうち問題になった約7件では、追加費用の5件がいちばん多い理由でした。
2024年2月、人材サービスの会社(従業員約30名)の勤怠システムでは、仕様変更が口頭のやり取りだけで進んでいました。納品の直前に「言った・言わない」になり、私は変更点を一覧にして双方で確かめ直すと判断しました。
人材サービスの会社の勤怠システムは、納期を1か月延ばして納品しました。以後、当社では変更をすべて書面で残す運用にしています。AIエージェントでも、AIに任せる範囲や確かめる条件を変えるたびに、同じように書面で残してください。
仕様変更を口頭だけで進めるのはNG
起きること: 納品の前に、頼んだ内容と作った内容が食い違います。
原因: 変更の中身と金額を、双方で同じ書面に残していないためです。
避け方: 変更のたびに一覧へ1行足し、金額と納期を決めてから作ってもらってください。
作った後も使い続けるために、契約で決める3つのこと
AIエージェントを長く使い続けるには、ソースコードの権利・設計の資料の引き渡し・保守の範囲の3つを、開発の契約で決めておきます。契約に書いていないことは、作った側に残る前提で読まれます。
私は開発会社の側として、契約に書いていないことは作った側に残る前提で契約書を読んできました。2022年から2025年まで、AI・システム開発会社2社の代表取締役を務めた経験からの判断です。
2025年4月、飲食店(5店舗)の予約システムを他社から引き継いだところ、ソースコードの権利が前の開発会社に残っていて改修できませんでした。権利の譲渡を交渉するより作り直すほうが早いと判断し、3か月で新しく作り直しています。
2023年から2025年に引き継いだ6件のうち、資料が無かった4件では、調査に合計約25人日(1件あたり4〜9人日)が追加でかかりました。資料の引き渡しを契約に書いておくと、別の会社にも改修を頼めます。
| 契約で決めること | 決めておかないと起きること | 開発会社に聞くこと |
|---|---|---|
| ソースコードの権利 | 自社で改修を頼めない | 権利を自社に移せるか |
| 設計の資料の引き渡し | 引き継ぎの調査に日数がかかる | 何の資料を、いつ渡すか |
| 保守の範囲 | 不具合のたびに別の見積りになる | 保守に入らない作業は何か |
契約の条項は、情報処理推進機構(IPA)が2020年12月22日に公開した情報システム・モデル取引・契約書(第二版)が参考になります。個別の契約の判断は弁護士に確認してください。
AIに見せる社内の情報の範囲も、使い始める前に決めます。当社は2025年から2026年9月までに生成AIの社内ルールづくりを10件支援し、入力してよい情報の範囲、使うツール、出力物の確認者を決めました。書き方は生成AIの社内ルールのサンプルにまとめています。
お客様の個人情報を扱う会社は、個人情報保護委員会の生成AIサービスの利用に関する注意喚起等についても読んでおいてください。
AIエージェントの開発に進む会社・見送る会社
AIエージェントの開発に進むかどうかは、業務の件数、手順が自社独自か、浮く時間の3つで決まります。3つを確かめると、作る・既製のサービスを使う・見送るのどれを選ぶかが分かります。エンジニアの有無と、手書き・例外の多さは、進め方を変える補足の条件です。
実際の例を先に押さえるなら、AIエージェントの事例8件が参考になります。

状況ごとの選び方は、次のとおりです。
- メールや社内のデータを読み、決まった手順で毎日処理する業務があるなら、試作から始めてください
- 勤怠や会計のような一般的な業務なら、作らずに既製のサービスを選んでください
- 社内にエンジニアがいて、改修が多いなら、外注だけでなく内製を考えてください
- 手書きの書類や例外の処理が多いなら、先に書類をデータで受け取る形に変えてから任せてください
当社では2021年から2026年9月までに、要件が一般的な勤怠・会計だったため既製のSaaSを勧めた案件が4件あります。社内にエンジニアがいて改修が多いため、内製化を支援した案件も2件あります。
当社がAIエージェントで業務を自動化した8件(2025年〜2026年9月)のうち2件は、手書きの書類が多く読み取りの精度が上がらなかった1件と、例外の処理が多く人の確認が減らなかった1件です。手書きと例外の多さは、試作の前に1か月分数えておくと見分けられます。
任せたい業務が月に数件しか無いなら、開発は見送ってください。作る費用に対して、浮く時間が小さいためです。
試算:仮に、1件10分かかる返信を月300件しているとすると、月50時間です。仮に確認だけの1件2分にできるとすると、残る時間は月10時間です。差の月40時間に担当者の時給を掛けた額を、試作の費用と比べてください。
例えば、月40時間が浮くなら、1年で480時間です。試作の費用を時給で割った時間が480時間より小さければ、1年以内に回収できます。月10時間なら1年で120時間で、同じ費用を回収するには4倍の期間がかかります。
当社の判断では、浮く時間が月10時間に届かない業務は試作に進めません。試作の費用の下限が50万円で、回収に時間がかかりすぎるためです。
AI導入の試行(PoC)の費用の相場は50万〜200万円、業務システムは80万〜800万円です(当社の代表的な12件・2022年〜2026年9月)。見積りを頼むときは、試作の金額と本番の金額を分けて出してもらってください。
同じ調べでは、10件の答えのうち、触れていたのは費用の金額(◯円)は0件、専門家への相談は0件、期間(◯か月・◯日など)は2件でした。(出典: 当社調べ)
2つ以上の状況に当てはまるときは、件数を先に見ます。月に数件しか無いなら、ほかの状況にかかわらず見送ってください。件数が足りていて、手書きや例外も多いなら、書類をデータで受け取る形に変えるほうを先に進めます。手書きの読み取りが残ったままでは、試作で出力が使えるかを正しく確かめられないためです。
今日やること
まず、AIに任せたい業務を1つ選び、今日の分から件数とかかった時間を記録してください。Excel に「日付・件数・かかった分・手書きか・例外か」の5列を作れば始められます。
あわせて、開発会社に相談するときに渡す資料として、その業務の手順を10行で書き出してください。見積りを比べるときの見方は、システム開発の見積もり比較はどこを見る?で説明しています。
CONFLUX PARTNERS のAIエージェント開発では、任せる業務の選定から試作、本番へのつなぎ込み、保守までを一緒に進めます。
開発をほかの相談とまとめて任せたい場合は、CONFLUX 顧問パッケージもご覧ください。
自社で使えるか、相談する →任せたい業務の件数と手順をうかがい、どの段階から始めるかと、試作の範囲の目安をお伝えします。ご契約を前提としたご案内ではありません。
よくある質問
AIエージェントの開発は、何から始めればよいですか?
任せたい業務を1つ選び、毎月の件数と毎回かかる時間を数えることから始めます。数字があれば試作の範囲を決められます。
開発を頼むと、どこまでしてもらえますか?
選定の相談から試作、つなぎ込み、保守まで頼めます。試作の費用の相場は50万〜200万円です。
IT に詳しい社員がいなくても、AIエージェントの開発を進められますか?
進められます。社内で受け持つのは、任せる業務を決めることと、AIの出力を確かめる担当者を1人置くことの2つです。
相談から使い始めるまで、どのくらいの期間がかかりますか?
当社の代表的な案件(各5件・2020年〜2026年9月)の開発期間は、小規模が1.5〜3か月、中規模が4〜8か月でした。
AIエージェントの開発を見送ったほうがよいのは、どんな場合ですか?
任せたい業務が月に数件しか無い場合と、勤怠や会計のような一般的な業務の場合です。どちらも既製のサービスで足ります。
まとめ: AIエージェント開発は1つの業務と書面の記録から進める
AIエージェント開発の進め方は、業務を1つ選ぶ・試作・つなぎ込み・人が確かめる運用・範囲の拡大の5段階です。試作では止める仕組みまで確かめ、仕様変更は書面で残し、権利と資料の引き渡しを契約で決めてください。
業務を1つ選んで数え、試作で止める条件を決め、変更は書面に残す。この順で進めると、追加費用を抑えながら、社内で使われ続ける仕組みにできます。ほかの記事はAIエージェントの記事一覧にまとめています。
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YW(CONFLUX PARTNERS)「AIエージェント開発の進め方5段階|仕様変更の追加費用を防ぐ決め方」2026年11月5日公開、https://conflux-partners.jp/journal/ai-agent-development-process
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