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03 ・ システム開発

システム開発を外注するデメリット5つと契約前に決める対策

公開:更新:執筆:AI が下書き監修:YW(CONFLUX PARTNERS)

真昼のマンハッタンの大通り。右手に鉄骨の高層ビルが建設されている。
AI で生成したイメージです。

ANSWER ・ 結論

システム開発を外注するデメリットは、社内に知識が残らない、改修で総額が膨らむ、意図が伝わりにくい、開発会社に頼り切りになる、権利と資料が手元に残らないの5つです。

対象読者この記事は、IT の専任者がいない従業員10〜100名の会社で、システム開発の外注を考えている経営者・事業責任者向けです

※ 2026年10月時点の情報です

システム開発の記事の全体は、システム開発の記事の一覧にまとめています。

このページの内容9 章
  1. 01システム開発を外注するデメリットは5つ
  2. 02社内に知識が残らず、開発会社に頼り切りになる
  3. 03改修と保守で、5年の総額が膨らみやすい
  4. 04作りたいものの意図が、開発会社に伝わりにくい
  5. 05著作権と資料が手元に残らないことがある
  6. 06外注・内製・既製サービスは、どう選ぶか
  7. 07外注のデメリットを抑えるために、契約前に決めること
  8. 08よくある質問
  9. 09まとめ: デメリットは契約前に決めて小さくする

どれも契約の前に決めておけば小さくできます。外注そのものをやめる理由にはなりません。この記事では、5つのデメリットと、それぞれを抑える対策を順に説明します。

この記事でわかること
  • システム開発を外注する5つのデメリット
  • デメリットごとに契約前に決めておく対策
  • 外注・内製・既製サービスの選び方
  • 今日から始められる準備

※ 税務の扱いは国税庁の2026年4月1日現在の法令等にもとづきます。

システム開発を外注するデメリットは5つ

システム開発の外注のデメリットは、知識・費用・伝わり方・依存・権利の5つに分けられます。それぞれ起きる場面と、先に決めておく対策が違います。

システム開発を外注する5つのデメリットの一覧

システム開発の外注とは、業務で使うシステムの設計・開発・保守を、社外の開発会社や個人の開発者に頼むことです。社内に開発の担当者を置かずに、業務に合わせたシステムを作れます。

5つのデメリットと、起きやすい場面、先に決めておく対策を表にまとめます。

デメリット 起きやすい場面 先に決めておく対策
社内に知識が残らない 担当者が交代したとき 手順書と設計書の引き渡しを契約に書く
改修で総額が膨らむ 業務が変わって直すとき 保守の範囲と改修の頼み方を決める
意図が伝わりにくい 作る範囲を決めるとき 1つの業務で試作してから広げる
開発会社に頼り切りになる 別の会社に頼みたいとき ソースコードと資料を手元に置く
権利と資料が残らない 作ったものを広げたいとき 著作権の譲渡の範囲を契約に書く

私は2003年に HP 制作会社を創業し、事業の経営を23年続けてきました。2022年から2025年までは、AI・システム開発会社2社の代表取締役も務めました。頼む側と作る側の両方を経験した立場から見ると、5つのデメリットはどれも「決めずに始めた部分」から出てきます。

当社の案件は、2022年1月から2026年9月までの開発約48件のうち、予定どおり終わったのが約30件でした。問題になったのは約7件です。内訳は遅れ1件、追加費用5件、やり直し1件でした。

当社は2026年10月に、3つのAI(ChatGPT・Claude・Gemini)へ「システム開発 外注 デメリットについて教えてください」と同じ質問をしました。3件の答えのうち、本記事の論点『著作権』『契約前』の語が出たものは0件でした。同じ調べでは、費用の金額(◯円)に触れた答えは無く、期間(◯か月・◯日など)に触れた答えは無く、専門家への相談に触れた答えは無くでした。

社内に知識が残らず、開発会社に頼り切りになる

外注すると、システムの中身を知る人が社外にだけいる状態になりやすく、改修のたびに同じ会社へ頼むしかなくなります。知識が残らないことと、頼り切りになることは、同じ原因から出る2つの面です。

社内の担当者は、画面の使い方は分かっても、中で何が動いているかは知りません。その状態で開発会社の担当者が変わると、直したい箇所の説明から始め直すことになります。

ベンダーロックインとは、システムの中身や資料が1社にしか無いため、改修や保守をほかの会社に頼めなくなる状態のことです。

対策は、作り終えたときに次の3つを受け取ると決めておくことです。

  • ソースコードは、システムを動かしているプログラムの本体です
  • 設計書は、どの画面が何を記録しているかを説明した資料です
  • 操作の手順書は、社員が日々使うときの手順をまとめた資料です

3つが手元にあれば、別の会社に改修の見積りを頼めます。手順書は、社内の人が書き足していける形で受け取ってください。

資料が無いと、引き継ぐ側の手間が増えます。2023年から2025年に引き継いだ6件のうち、資料が無かった4件では、調査に合計約25人日(1件あたり4〜9人日)が追加でかかりました。

私が引き継いだシステムでは、給与計算の締め日の処理がどこに書かれているか資料から分かりませんでした。本番のデータで動かしながら確かめるしかなく、手間がかかりました。

2023年6月には、製造業の会社(従業員約80名)で、前の開発会社が作った在庫管理システムに「拠点間の移動」の要件が抜けていました。月末の棚卸しで数字が合わない状態が続いていたのです。作り直しではなく移動の登録画面を足す改修で対応すると判断し、2か月・追加約120万円で解消しました。

使い始めた後に社内で回すこと

外注しても、業務を知っているのは社内の人です。使い始めた後は、次の4つを社内で回すと、知識が社内にたまります。

困りごとを集める、直す順番を決める、改修を頼む、手順書を直すを繰り返す図

まず、使う人の困りごとを1か所に集めます。次に、直す順番を社内で決めます。決めた分だけを開発会社に頼み、直ったら手順書を更新します。

直す順番を社内で決めることが、頼り切りにならないためのいちばんの対策です。開発会社が順番まで決めると、業務の優先度と合わない改修が増えます。

改修と保守で、5年の総額が膨らみやすい

外注の費用は最初の開発費だけでは終わらず、保守と改修の費用が使い続ける年数のぶん重なります。最初の見積りが安くても、使い続けた総額で逆転することがあります。

業務は毎年少しずつ変わります。帳票の項目が増える、承認の手順が変わる、といった変化のたびに改修が要ります。保守の範囲に含まれない改修は、そのつど別の見積りになります。

当社がこれまでに手がけた案件は500件以上あります。そのうち34件は、契約後の仕様変更で追加の見積りになりました。2022年4月から2026年9月までの34件の追加額は、10万〜180万円(中央値 約35万円)でした。

費用の相場は、業務システムで80万〜800万円です。当社の2022年から2026年9月までの代表的な12件の実績です。SaaS型の小規模なシステムは80万〜300万円、AI導入の試行(PoC)は50万〜200万円でした。12件の費用の中央値は約220万円です。これは当社の料金ではなく、実績にもとづく相場の目安です。

仮に、最初の開発が中央値の約220万円で、5年のあいだに追加の見積りが1回出るとします。追加額が中央値の約35万円なら、総額は最初の見積りに追加額を足した額になります。この計算に自社の数字を当てはめると、保守と改修を含めた予算の幅が見えます。

国税庁のソフトウエアの取得価額と耐用年数では、ソフトウエアの耐用年数は5年です。ただし、複写して販売する原本と研究開発用は除きます(2026年4月1日現在の法令等)。

最初の費用に、5年分の保守と見込みの改修を足した総額で比べると、外注の費用の見え方がそろいます。耐用年数の5年は、総額を比べる年数として使って構いません。

減価償却の計算や、費用にするか資産にするかの判断は、金額が大きいときは顧問の税理士に聞いてください。

見積りを受け取ったら、次の2点を開発会社に聞いてください。

  1. 保守の費用に含まれる対応と、含まれない対応はどれか
  2. 項目を1つ足すような小さな改修は、どう頼み、どう見積るか

見積書を並べる方法は、システム開発の見積もり比較はどこを見るかで詳しく説明しています。費用が何で決まるかは、業務システム開発の費用の決まり方をご覧ください。

自社で使えるか、相談する →お手元の見積書や今のシステムの契約を拝見し、5年で見たときの費用の抜けがないかを一緒に確かめます。何を頼むか決まっていなくても大丈夫です。

作りたいものの意図が、開発会社に伝わりにくい

外注では、業務の言葉とシステムの言葉の間で読み違いが起きやすく、作る範囲が依頼する側の想定とずれることがあります。依頼の文面が短いほど、開発会社は分からない部分を想像で埋めます。

想像で埋めた部分は、会社ごとに違う形で金額と出来上がりに出ます。1つの業務に絞って小さく作り、使ってみてから広げると、ずれを早い段階で直せます。

当社が開発した「AIO(SEO)対策エージェント」は、記事づくりの7工程を毎日自動で進める仕組みです。提供はセブンセンシズ株式会社が行っています。

作るときは、進める仕組みと止める仕組みを一組で作ると決めていました。人が確認する工程を残して始め、確かめられた部分から自動に広げています。品質の基準に届かない記事は、エージェントが自動で止めます。

外注で作るときも、考え方は同じです。最初から全部を作らず、人が確認する工程を残した小さな形で試作してください。試作で業務とのずれを見つけるほうが、完成後に作り直すより費用を抑えられます。

試作で確かめる3つのこと

試作では、見た目の出来よりも、業務に合うかどうかを確かめます。見るところは次の3つです。

  1. 普段の業務の順番どおりに、画面を進められるか
  2. 今の Excel や紙にある項目が、抜けずに入力できるか
  3. 例外の扱い(取り消し・差し戻し・急ぎの案件)を、どこで誰が処理するか

3つ目の例外は、依頼の文面に書かれにくい部分です。試作の画面を、実際にその業務をしている社員に触ってもらってください。管理する立場の人だけで確かめると、例外の扱いが抜けやすくなります。

言った・言わないも、意図のずれの典型です。2024年2月、人材サービスの会社(従業員約30名)の勤怠システムで、仕様変更が口頭のやり取りだけで進みました。納品の直前に「言った・言わない」になり、変更点を一覧にして双方で確かめ直すと判断しました。納期を1か月延ばして納品し、以後、変更は書面で残しています。

試作で見つかったずれは、本開発の範囲と見積りに反映してもらいます。試作の費用の目安は、当社の実績ではAI導入の試行(PoC)で50万〜200万円です。

試作の結果、手順の半分以上が画面に載らない場合があります。例外が多く、人の確認が減らない場合もあります。そのときは、本開発に進まずやめる判断も選べます。当社の判断では、確認が減らない案件は本開発でも減らないからです。

試作の費用と本開発の費用を、別々の見積りで出してもらうと、途中でやめる判断もしやすくなります。

依頼の前には、普段の業務の言葉で次のことを書き出しておくと伝わりやすくなります。

  • 誰が、何を見て、どこに入力しているか
  • 月に何件あり、何時間かかっているか
  • 今回は作らないもの

顧問パッケージの内容と料金を見る →ここまでの内容が自社に当てはまるか、確認しませんか。要件の確認だけでもご利用いただけます

著作権と資料が手元に残らないことがある

外注したシステムの著作権は、開発費を払っただけでは依頼した会社に移らず、契約に書いた範囲で決まります。ここは外注のデメリットの中でも、後から気づくと直しにくい点です。

私は開発会社の側として、契約に書いていないことは作った側に残る前提で契約書を読んでいました。依頼する側も、同じ前提で契約書を読んでください。

2025年4月、飲食店(5店舗)の予約システムを他社から引き継いだところ、ソースコードの権利が前の開発会社に残っていて改修できませんでした。権利の譲渡を交渉するより作り直すほうが早いと判断し、3か月で新しく作り直しました。

資料の対策は、引き渡すものにソースコード・設計書・手順書を入れ、権利の対策は、改修に関わる権利まで譲渡に含めることです。

著作権法第61条第2項では、譲渡の契約で翻案などの権利(第27条・第28条の権利)が特に書かれていないと、その権利は譲渡した側に残ると推定されます。文化審議会著作権分科会の検討資料は、「全ての著作権を譲渡する」と書くだけでは、特に書いたことにならないとしています。

「著作権は全部譲渡」と書くだけで済ませるのはNG

改修や機能の追加に関わる権利は、第27条・第28条の権利を含むと明記しておくと、後から別の会社に改修を頼むときに迷いません。

契約書のひな形を考えるときは、情報処理推進機構(IPA)が2020年12月22日に公開した情報システム・モデル取引・契約書(第二版)が参考になります。個別の契約の判断は弁護士に確認してください。

外注・内製・既製サービスは、どう選ぶか

外注が合うかどうかは、業務が自社独自かどうかと、社内に開発を見られる人がいるかどうかで決まります。3つの選択肢を同じ観点で比べると、次のようになります。

外注・内製・既製サービスの向き不向きを4つの観点で比べた表
観点 外注 内製 既製サービス
業務に合わせて作る ○ ○ △
社内に知識が残る △ ○ △
始めるまでの早さ ○ △ ○
IT担当がいなくても進む ○ × ○

判断の分かれ目は、次のように考えると決めやすくなります。

  • 既製サービスで業務のほとんどが回るなら、既製サービスを選び、足りない部分だけを外注で補います
  • 独自の手順が自社の強みで、社内に開発の担当者がいないなら、保守まで頼める外注を選びます
  • 開発の担当者を採用して育てる予定があるなら、最初は外注で作り、内製へ移す前提で資料を受け取ります

当社では、2021年から2026年9月までに、要件が一般的な勤怠・会計だったため既製のSaaSを勧めた案件が4件ありました。社内にエンジニアがいて改修が多いため、内製化を支援した案件は2件です。

2つ以上に当てはまるときは、既製サービスを先に確かめてください。既製サービスで足りれば、費用も期間も外注より小さく済むからです。足りない業務が残った場合だけ、外注の見積りを取ります。

外注を急がないほうがよい場合もあります。社内で決める人がまだ決まっていないときは、開発会社への回答が遅れ、費用と期間がふくらみます。先に社内の窓口を1人決めてから相談してください。

作ったものを自社のサービスとして外へ売る場合は、SaaS 開発の費用で別の見方を紹介しています。AI で業務を自動化する開発なら、AIエージェントの費用の考え方もあわせてご覧ください。

外注のデメリットを抑えるために、契約前に決めること

外注のデメリットは、契約の前に「引き渡すもの・保守の範囲・権利・試作の範囲・社内の窓口」の5つを決めておくと抑えられます。5つのデメリットに、1つずつ対応しています。

契約前に決めること 抑えられるデメリット
引き渡すもの(ソースコード・設計書・手順書) 社内に知識が残らない
保守の範囲と改修の頼み方 改修で総額が膨らむ
試作する1つの業務 意図が伝わりにくい
社内の窓口と直す順番の決め方 開発会社に頼り切りになる
著作権の譲渡の範囲 権利と資料が残らない

5つを決めるのに、IT の専門知識は要りません。どれも「誰が持つか」「どこまで頼むか」を決める話です。

今日できる一歩

今日できる一歩は、外注したい業務を1つ選び、手順を10行で書き出すことです。その10行が、開発会社に意図を伝えるいちばんの資料になります。

書き出したら、次の順に進めます。まず、既製サービスで足りるかを確かめます。足りない業務が残るなら、10行を添えて開発会社に見積りを頼みます。見積りは、保守と改修の条件をそろえて複数社に頼むと比べやすくなります。

CONFLUX PARTNERS のシステム開発では、要件定義から保守まで、手順書・権利・保守を含めて社内で使い続けられる形に整えます。開発をほかの相談とまとめて任せたい場合は、CONFLUX 顧問パッケージもご覧ください。

自社で使えるか、相談する →いまの業務の流れをうかがい、外注・内製・既製サービスのどれが合うかと、契約前に決めておくことをお伝えします。ご契約を前提としたご案内ではありません。

よくある質問

IT に詳しい社員がいなくても、システム開発を外注できますか?

できます。業務の手順と困りごとを普段の言葉で伝えられれば足ります。社内の窓口を1人決めておくと進みます。

外注したシステムの著作権は、こちらのものになりますか?

契約で決まります。お金を払うだけでは移りません。譲渡と引き渡しの範囲を契約書に書いておいてください。

外注すると、どのくらいで使い始められますか?

作る範囲で変わります。小規模で1.5〜3か月、中規模の業務システムで4〜8か月が当社の実績です。

外注を頼むと、開発会社に何をしてもらえますか?

業務の聞き取り、作る範囲の整理、開発、導入、保守です。どこまで頼むかは見積りの段階で決められます。

外注に向かないのは、どんな場合ですか?

既製のサービスで業務のほとんどが回る場合と、社内で決める人がまだ決まっていない場合です。

まとめ: デメリットは契約前に決めて小さくする

システム開発を外注するデメリットは、社内に知識が残らない、改修で総額が膨らむ、意図が伝わりにくい、開発会社に頼り切りになる、権利と資料が手元に残らないの5つです。

引き渡すもの・保守の範囲・権利・試作の範囲・社内の窓口を契約前に決める。この順で進めると、外注の良さを残したまま、使い続けられるシステムになります。ほかの記事はシステム開発の記事一覧にまとめています。

この記事を引用・紹介するとき

YW(CONFLUX PARTNERS)「システム開発を外注するデメリット5つと契約前に決める対策」2026年10月21日公開、https://conflux-partners.jp/journal/system-development-outsourcing-demerits

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