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03 ・ システム開発

社内システム外注の要件定義チェックリスト12項目|中小企業が先に決めること

公開:更新:執筆:AI が下書き監修:YW(CONFLUX PARTNERS)

青い作図線が引かれた製図用紙の上に、真鍮のコンパスが立っている。
AI で生成したイメージです。

ANSWER ・ 結論

社内システムを外注するときの要件定義は、業務の範囲・データとつながり・契約と運用の3つに分けた12項目を、発注する側が先に埋めることから始まります。

対象読者この記事は、IT の専任者がいない従業員10〜100名の会社で、社内システムの外注を任された経営者・事業責任者向けです

※ 2026年11月時点の情報です

システム開発の記事の全体は、システム開発の記事の一覧にまとめています。

このページの内容9 章
  1. 01社内システム外注の要件定義で決めること
  2. 02要件定義のチェックリスト12項目
  3. 03中小企業の要件定義で抜けやすい3項目
  4. 04要件定義の抜けで追加費用はどれくらい出るか
  5. 05要件定義で発注する会社と開発会社が書くもの
  6. 06要件定義を自社で書くか開発会社と書くかの分かれ道
  7. 07今日から始める要件定義の下書き3ステップ
  8. 08よくある質問
  9. 09まとめ: 要件定義は業務の事実を12項目で書くことから

開発会社が画面を描く前に、今の手順と例外の処理が書かれているかどうかで、見積りの幅と追加費用が変わります。

この記事では、12項目のチェックリストと抜けやすい項目、自社で書くか開発会社に頼むかの分かれ道を説明します。私は開発会社2社の代表取締役として、要件定義を受ける側に立ってきました。その立場から、発注する側が書けば足りることに絞ります。

この記事でわかること

  • 要件定義で発注する側が決める12項目
  • 中小企業の要件定義で抜けやすい3項目
  • 自社で書くか、開発会社と一緒に書くかの分かれ道
  • 今日から始められる下書きの手順

※ 自社実績の数字は2026年10月時点の記録です。

社内システム外注の要件定義で決めること

社内システム外注の要件定義とは、何を作り、何を作らないかを、発注する会社と開発会社が文書で合意する工程です。設計や開発の前に置かれ、ここで決めた範囲が見積りの土台になります。

要件定義とは、システムで何をするか(業務の範囲・扱うデータ・使う人・作った後の運用)を文書にして、発注する側と作る側で確かめる工程です。

情報処理推進機構(IPA)は、2019年9月12日にユーザのための要件定義ガイド 第2版を公開しました。副題は「要件定義を成功に導く128の勘どころ」です。

同じガイドは、業務部門のユーザが主体的に関わる形への変革が必要だと書いています。ITベンダやシステム部門が中心の進め方からの切り替えです。

IT の担当者がいない会社でも、発注する側の役目は変わりません。書くのは技術の仕様ではなく、今の業務の事実です。画面やデータの形は、開発会社が業務の事実をもとに書きます。

要件定義のチェックリスト12項目

要件定義のチェックリストは、業務の範囲4項目・データとつながり4項目・契約と運用4項目の計12項目です。上から順に埋めると、開発会社に渡す下書きになります。

要件定義の12項目を業務の範囲・データとつながり・契約と運用の3つに分けた図

業務の範囲・データとつながり・契約と運用の3区分で、12項目を表にまとめます。

No. 区分 決めること 決めないと起きること
1 業務の範囲 対象の業務と、今回は作らないもの 各社の見積りの前提がそろわない
2 業務の範囲 今の手順(誰が・何を見て・何を入力するか) 現場の手順と画面が合わない
3 業務の範囲 1か月の件数と、かかっている時間 作る効果を開発費と比べられない
4 業務の範囲 例外の処理(取り消し・返品・締め日の処理) 作った後に手作業が残る
5 データとつながり 扱う項目と、今の置き場所(Excel・紙) データの移し替えで漏れが出る
6 データとつながり 拠点・部署の間でのデータの移動 拠点ごとの数字が合わない
7 データとつながり つなぐ外部のサービスやシステム 連携の作業が後から増える
8 データとつながり 使う人の数と、見る・直す権限 権限の作り直しが起きる
9 契約と運用 社内で決める担当者と、返事までの日数 確認待ちで期間が延びる
10 契約と運用 仕様変更の受け付け方(書面で残す) 変更の内容で食い違いが出る
11 契約と運用 ソースコードの権利と資料の受け取り 別の会社に改修を頼めない
12 契約と運用 作った後の保守の範囲と改修の頼み先 毎回の改修が別料金になる

12項目のうち、発注する会社でないと書けないのは1〜4と6です。業務の手順と例外は、開発会社が外から見ても分からないからです。

9〜12は、契約書と一緒に決める項目です。私は契約書を読むとき、契約に書いていないことは作った側に残る前提で読みます。権利と資料の受け取りは、書いておかなければ手元に来ません。

契約書の書き方を確かめるときは、IPA が2020年12月22日に公開した情報システム・モデル取引・契約書(第二版)が手がかりになります。開発会社から届いた契約書の案と、項目を見比べてください。

中小企業の要件定義で抜けやすい3項目

中小企業の要件定義で抜けやすいのは、例外の処理・拠点間の移動・仕様変更の記録の3項目です。どれも、ふだんは担当者の頭の中で回っているため、文書に出てきません。

例外の処理は「月に何回あるか」まで書く

締め日の処理や取り消しは、毎日の手順の外にあります。引き継いだシステムで、給与計算の締め日の処理がどこに書かれているか資料から分かりませんでした。本番のデータで動かしながら確かめるしかありませんでした。

例外の処理は、名前だけでなく「月に何回あり、誰が判断しているか」まで書いてください。回数が分かると、システムに入れるか人の判断に残すかを開発会社と決められます。

拠点間の移動は、拠点が2つ以上なら書き出す

2023年6月、製造業の会社(従業員約80名)の在庫管理システムで「拠点間の移動」の要件が抜けていました。前の開発会社が作ったもので、月末の棚卸しで数字が合わない状態が続いていました。

私は作り直しではなく、移動の登録画面を足す改修で対応すると判断しました。2か月・追加約120万円で解消しました。拠点が2つ以上ある会社は、物やデータがどこからどこへ動くかを1行ずつ書くと、同じ抜けを防げます。

仕様変更は、口頭で決めずに一覧で残す

2024年2月、人材サービスの会社(従業員約30名)の勤怠システムで、仕様変更が口頭のやり取りだけで進みました。納品の直前に「言った・言わない」になりました。

変更点を一覧にして双方で確かめ直すと判断し、納期を1か月延ばして納品しました。以後、当社では変更を書面で残す運用にしています。チェックリストの10番は、この運用を契約の前に決めておく項目です。

画面の見た目から決め始めるのはNG

画面の案を先に見ると、例外の処理や拠点間の移動のような目に見えない手順が後回しになります。手順と例外を書いてから画面を見る順番にすると、抜けが残りにくくなります。

要件定義の抜けで追加費用はどれくらい出るか

要件定義で決めきれなかったことは、契約後の仕様変更として追加の見積りに出てきます。当社の記録では、仕様変更の追加額の中央値は約35万円でした。

私がこれまでに手がけた案件は500件以上です。そのうち34件は、契約後の仕様変更で追加の見積りになりました(出典: 自社実績(案件の記録)・2026年10月時点)。

仕様変更で追加の見積りになった34件(2022年4月〜2026年9月)の追加額は、10万〜180万円でした。中央値は約35万円です(出典: 自社実績・2026年10月時点)。

2026年11月に当社が2つのAI(ChatGPT・Gemini)に本記事の論点5問を聞き、10件の答えを集めました。ほかの論点を聞いた答え8件のうち、『追加費用』に触れたものは4件でした。(出典: 当社調べ)

同じ調べでは、10件の答えのうち、触れていたのは専門家への相談は1件、費用の金額(◯円)は2件、期間(◯か月・◯日など)は3件でした。

2022年1月から2026年9月までの開発案件約48件の結果を件数で比べた棒グラフ

当社の2022年1月〜2026年9月の開発案件は約48件です。予定どおりは約30件、問題になったのは約7件でした。内訳は追加費用5件・遅れ1件・やり直し1件です(出典: 自社実績・2026年10月時点)。

問題になった約7件のうち、5件は追加費用でした。遅れより追加費用のほうが起きやすいため、要件定義では「作らないもの」の行を空欄にしないでください。作らないものが書かれていれば、後から足す機能は追加か範囲内かを双方で判断できます。

確認の返事の日数も期間を動かす

チェックリストの9番は、費用だけでなく期間にも効きます。当社の代表的な案件(各5件)では、小規模なシステムで1.5〜3か月、中規模の業務システムで4〜8か月かかりました(2020年〜2026年9月、出典: 自社実績・2026年10月時点)。

試算:仮に確認の返事に毎回3日かかり、確認が10回あるとすると、待つ時間だけで30日です。小規模なシステムの期間(1.5〜3か月)の3分の1以上にあたります。返事をする担当者と日数を先に決めてください。

顧問パッケージの内容と料金を見る →ここまでの内容が自社に当てはまるか、確認しませんか。要件の確認だけでもご利用いただけます

要件定義で発注する会社と開発会社が書くもの

要件定義では、発注する会社が業務の事実を書き、開発会社が画面とデータの形を書きます。役割を分けると、IT の知識が無くても発注する側の作業に迷いません。

要件定義で発注する会社と開発会社がそれぞれ何を書くかを比べた表の図

発注する会社と開発会社の分担を、表にまとめます。

項目 発注する会社 開発会社
今の手順と件数 書く 質問して確かめる
例外の処理 書く 漏れを指摘する
画面とデータの形 確かめる 書く
保守と権利 決める 案を出す

開発会社の書く画面の案は、発注する会社が今の手順と照らして確かめます。手順の1行ごとに、どの画面で何を入力するかを指で追うと、画面の抜けが見つかります。

保守と権利は、開発会社が出す案をそのまま受けず、発注する会社が決めます。2025年4月、飲食店(5店舗)の予約システムを他社から引き継いだ案件では、ソースコードの権利が前の開発会社に残っていて改修できませんでした。

権利の譲渡を交渉するより作り直すほうが早いと判断し、3か月で新しく作り直しました。11番の項目は、最初の契約で埋めておけば交渉そのものが要りません。

当社が2023年から2025年に引き継いだシステムは6件です。そのうち資料が無かった4件では、調査に合計約25人日(1件あたり4〜9人日)が追加でかかりました(出典: 自社実績・2026年10月時点)。

自社で使えるか、相談する →いまの業務の流れをうかがい、要件定義で先に決めることと、費用・期間の目安をお伝えします。全国オンラインで対応します。

要件定義を自社で書くか開発会社と書くかの分かれ道

要件定義を自社で書くか開発会社と書くかは、業務の範囲4項目を社内の誰かが書けるかどうかで決まります。書けるなら下書きを自社で、書けないなら開発会社と一緒に進めます。

条件ごとの選び方を表にまとめます。

会社の状況 選ぶ進め方 理由
1〜4を社内の担当者が書ける 自社で下書きし、開発会社が確かめる 打ち合わせの回数が減る
手順が担当者の頭の中にしか無い 開発会社と一緒に聞き取りから書く 書く人がいないと止まる
業務が勤怠・会計など一般的 要件定義をせず既製のサービスを試す 作るより合わせるほうが早い
社内にエンジニアがいて改修が多い 内製を前提に要件をまとめる 自社で直し続けられる

当社では2021年から2026年9月までに、要件が一般的な勤怠・会計だったため既製のSaaSを勧めた案件が4件ありました。社内にエンジニアがいて改修が多いため内製化を支援した案件も2件あります(出典: 自社実績・2026年10月時点)。

  • 1〜4を社内の担当者が書けるなら、自社で下書きしてから開発会社に渡してください
  • 手順が担当者の頭の中にしか無いなら、開発会社に聞き取りから頼んでください
  • 勤怠・会計のように手順が一般的なら、作るのを見送り、既製のサービスを2〜3つ試してください

2つ以上に当てはまるなら、手順が一般的かどうかを先に確かめてください。既製のサービスで回るなら、要件定義の手間そのものが要らなくなるからです。

作ると決めた場合の費用の相場は、当社の代表的な12件(2022年〜2026年9月)で業務システムが80万〜800万円でした。SaaS型の小規模なシステムは80万〜300万円です(出典: 自社実績・2026年10月時点)。

見積りを頼むときは、開発会社に「12項目のうち、決まっていないと金額が動くのはどれか」と聞いてください。答えの項目から先に埋めると、見積りの幅が狭くなります。

外注を見送ったほうがよい場合

1か月の件数が少なく、使う人が1〜2人の業務は、システムにしないで Excel のまま回す判断もあります。当社の判断では、3番の件数と時間が書けた後に、浮く時間が小さいと分かれば見送ります。作った後の保守の費用が毎月かかるためです。

内製か外注かで迷う場合は、システム開発の内製と外注は4つの条件で決めるで条件を整理しています。

今日から始める要件定義の下書き3ステップ

要件定義の下書きは、対象の業務を1つ選び、手順を10行で書き、件数と例外を足す3ステップで始められます。全部の業務を一度に書く必要はありません。

  1. いちばん時間を取られている業務を1つ選びます
  2. その業務の手順を、誰が・何を見て・何を入力するかで10行に書きます
  3. 1か月の件数・かかっている時間・例外の処理を書き足します

当社の判断では、最初の下書きは10行で足ります。10行あれば、開発会社は質問を返せます。質問への答えを足していくほうが、最初から長い文書を作るより早く12項目が埋まります。

件数と時間は、システムにしたときの効果を比べる材料になります。2025年3月に卸売の会社(従業員約25名)の受発注の Excel を Web の受発注システムにしました。入力と転記が月約40時間から約8時間になりました(費用80万〜120万円、出典: 自社実績・2026年10月時点)。

まず、今日は対象の業務を1つ選び、手順を10行で書き出してください。件数が分からないときは、2週間だけ件数を記録してから相談に進んでください。2週間あれば、締め日をまたぐ業務の例外も1回は見えます。

下書きができたら、見積りを取る段階に進みます。複数の会社に同じ下書きを渡す方法はシステム開発の見積もり比較はどこを見る?で、外注で起きやすいことはシステム開発を外注するデメリット5つと契約前に決める対策で説明しています。

引き継ぎを伴う場合は、システム保守を他社から引き継ぐ前に確かめる4つもあわせて確かめてください。

自社で使えるか、相談する →手順の10行の下書きがあれば、作る範囲と費用・期間の目安をお伝えできます。ご契約を前提としたご案内ではありません。

よくある質問

IT に詳しい社員がいなくても、要件定義はできますか?

できます。発注する側が書くのは技術ではなく、今の手順・件数・例外の処理です。画面やデータの形は開発会社が書きます。

要件定義は、自社だけで仕上げてから相談するべきですか?

仕上げる必要はありません。12項目のうち業務の範囲の4項目を下書きし、残りは開発会社と一緒に埋めると早く進みます。

要件定義が甘いと、追加費用はどのくらい出ますか?

当社の500件以上のうち34件は契約後の仕様変更で追加となり、追加額は10万〜180万円、中央値は約35万円でした。

要件定義をせずに既製のサービスを選んだほうがよいのは、どんな場合ですか?

勤怠や会計のように業務の手順が一般的な場合です。作るより既製のサービスに合わせるほうが早く安く始められます。

開発が始まってから要件を変えたくなったら、どうすればよいですか?

変える点を一覧にして書面で開発会社と確かめてから作ってもらいます。口頭だけで進めると後で食い違いが出ます。

まとめ: 要件定義は業務の事実を12項目で書くことから

社内システムを外注するときの要件定義は、業務の範囲・データとつながり・契約と運用の12項目を埋めることです。発注する会社が書くのは、今の手順・件数・例外の処理といった業務の事実です。

対象の業務を1つ選び、手順を10行で書き、件数と例外を足す。この下書きから始めると、追加の見積りと確認待ちを減らしながら外注を進められます。ほかのシステム開発の記事はシステム開発の記事一覧にまとめています。

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この記事を引用・紹介するとき

YW(CONFLUX PARTNERS)「社内システム外注の要件定義チェックリスト12項目|中小企業が先に決めること」2026年11月6日公開、https://conflux-partners.jp/journal/system-requirements-checklist

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