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01 ・ AI 活用

生成AIの社内ルールの作り方|中小企業が最初に決める7項目と、A4 1枚の雛形

公開:更新:執筆:YW(AI × 経営コンサルタント)約 6 分で読めます

夕暮れのマンハッタン。窓に灯りがともり始め、手前の屋上に電球が連なっている。
AI で生成したイメージです。

ANSWER ・ 結論

生成AIの社内ルールは、「入力してよい情報」と「使ってよいツール」の2つを先に決め、A4 1枚から始めるのが現実的です。禁止事項を並べるより、使ってよい範囲をはっきりさせたほうが、社員は安心して使えます。

対象読者社員に生成AI(ChatGPT・Gemini・Claude など)を使わせたいが、情報の扱いが心配な中小企業の経営者・管理部門の方

※ 2026年10月時点の公的資料(AI事業者ガイドライン第1.2版など)にもとづく情報です。

この記事でわかること

  • 社内ルールが必要な理由と、公的な指針の要点
  • 最初に決める7つの項目
  • 情報の区分ごとに「入力してよいか」を決める表
  • そのまま使える A4 1枚の雛形
  • ルールが形だけになる失敗例と、その避け方

AI 活用の記事の全体は、AI 活用の記事の一覧にまとめています。

このページの内容9 章
  1. 01生成AIの社内ルールが必要な理由
  2. 02公的な指針は「人間の判断を介在させる」が前提
  3. 03最初に決める7つの項目
  4. 04情報の区分ごとに「入力してよいか」を決める
  5. 05そのまま使えるA4 1枚の雛形
  6. 06ルールが形だけになる失敗例
  7. 07ルールを社内に定着させる3つの工夫
  8. 08よくある質問
  9. 09まとめ:A4 1枚から始め、半年ごとに育てる

生成AIの社内ルールが必要な理由

社内ルールがない会社では、社員が自分の判断で生成AIを使い、どこまで許されるのか分からないまま情報が外に出ていきます。

総務省の令和7年版 情報通信白書によると、生成AIを活用する方針を定めている日本企業は、2024年度で49.7%でした。2023年度の42.7%からは増えましたが、まだ半分ほどです。

方針がないまま使われると、困るのは「禁止されていないから使った」社員と、「何が起きているか分からない」経営者の両方です。ルールの目的は、使うことを止めることではありません。安心して使える範囲を、会社として決めることです。

私は2022年から AI・システム開発の会社を経営し、AI コンサルティングを事業として運営してきました。AI を業務に組み込むとき、ツールの性能より先に決めておくべきなのは「何を入れてよいか」です。ここが決まっていないと、どれだけ良いツールを入れても、社員は安心して使えません。

公的な指針は「人間の判断を介在させる」が前提

国の指針は、AI の出力を人がそのまま信じず、人の判断をはさむことを前提にしています。

総務省と経済産業省のAI事業者ガイドラインは、2026年3月31日に第1.2版が公表されました。会社で AI を使う側(AI 利用者)も対象で、AI の利用に際し「人間の判断を介在させる」などの対策を求めています。

個人情報については、個人情報保護委員会が2023年6月2日に注意喚起を出しています。個人情報を入力するときは利用目的の範囲に限ること、入力した情報が機械学習に使われるなら本人の同意なく入力しないこと、などが示されています。

著作権については、文化庁が「AIと著作権に関する考え方について」を公表しています。生成物が他人の作品に似ていて、侵害にあたる場合、責任を負うのは原則として AI を使った人です。

最初に決める7つの項目

社内ルールは、次の7項目を1つずつ決めれば形になります。

# 項目 決めること
1 目的と対象 何のために使うか。全社員か、一部の部署か
2 使ってよいツール 会社で契約したツールとプラン。入力が学習に使われない設定になっているか
3 入力してよい情報 情報の区分ごとに、入力してよいか(次の表)
4 出力の確かめ方 事実・数字・固有名詞・他人の作品に似ていないかを、人が確かめる
5 社外に出すとき お客様に出す文章・画像は、責任者の確認を通す
6 困ったときの窓口 迷ったとき・入力してはいけない情報を入れたときに、だれに伝えるか
7 見直しの時期 半年に1回など、見直す時期と担当者

7項目のうち、最初の週に決めるのは2と3だけで足ります。残りは、使い始めてから出てきた疑問をもとに足していけば十分です。

情報の区分ごとに「入力してよいか」を決める

入力の可否は、「社外に出てもよい情報か」を基準に、情報を3つに分けて決めます。

区分 例 会社で契約したツール(学習に使われない設定) 個人のアカウント・無料のツール
公開してよい情報 公開済みのサイトの文章、一般的な質問 入力してよい 入力してよい
社内の情報 社内の手順書、会議のメモ(個人名を除く) 入力してよい 入力しない
外に出せない情報 顧客の個人情報、取引先の機密、未公開の数字、パスワード 原則として入力しない 入力しない

表の右の列が「入力しない」で埋まっているのが、この表のいちばんの狙いです。個人のアカウントでは、入力した情報の扱いを会社が管理できません。業務で使うなら、会社で契約したアカウントに寄せてください。

自社に合う社内ルールと、AI を使う業務の優先順位を相談する →業務の棚卸しから、利用ルール・研修まで一緒に進めます。

そのまま使えるA4 1枚の雛形

最初のルールは、A4 1枚に収まる長さにしてください。

生成AIの利用ルール(雛形)

  1. 目的:業務の時間を減らし、考える仕事に時間を使うために、生成AIを使う。
  2. 使ってよいツール:会社が契約した〇〇(入力が学習に使われない設定のもの)。それ以外は使わない。
  3. 入力しないもの:顧客や社員の個人情報、取引先から預かった情報、公表前の数字、パスワードやアクセスの情報。
  4. 出力の扱い:事実・数字・固有名詞は必ず元の資料で確かめる。そのまま社外に出さない。
  5. 社外に出すとき:お客様に出す文章・画像は、〇〇(責任者)の確認を通す。
  6. 困ったとき:迷ったとき、入力してはいけない情報を入れてしまったときは、すぐに〇〇に伝える。責めない。
  7. 見直し:〇月と〇月に、〇〇が内容を見直す。

雛形の6番目の「責めない」は、あえて入れています。入れてしまったことを言い出しにくい職場では、報告が遅れて、対応も遅れるからです。

ルールが形だけになる失敗例

社内ルールの失敗は、禁止が多すぎて使われなくなるか、作ったきり見直されないかのどちらかです。

よくある失敗

  • 禁止事項だけを並べ、何に使ってよいかを書かなかった。社員が使わなくなるか、隠れて個人のアカウントで使うようになった。
  • 10ページを超えるルールを作り、だれも読まなかった。
  • 出力を確かめる担当を決めず、AI が作った誤った数字がそのまま資料に載った。
  • 一度作って見直さず、ツールの設定やプランが変わったことに気づかなかった。

出力を確かめる仕組みは、人の注意だけに頼らないほうが続きます。私が開発した記事づくりの仕組み(AIO(SEO)対策エージェント)では、公開前に複数の AI が別々に記事を採点し、基準の点数に届かないものは公開しない設計にしています。AI の出力を、別の基準でもう一度確かめる工程を最初から組み込むという考え方は、社内ルールでも同じです。

ルールを社内に定着させる3つの工夫

ルールは配るだけでは守られません。使い方の例と、質問できる場所をセットにすると定着します。

  1. 使ってよい例を一緒に配る:「議事録の要約」「メールの下書き」「社内の手順書の整理」など、ルールの範囲で使える例を5つほど添えます。禁止だけのルールより、使ってよい例があるほうが、社員は安心して試せます。
  2. 30分の説明の時間をとる:ルールを読んでもらうだけでなく、実際の画面で「この情報は入れてよいか」を一緒に確かめる時間をとります。区分の表を見ながら判断の練習をすると、迷いが減ります。
  3. 質問できる場所を1つ決める:社内のチャットに相談の場を作るなど、迷ったときに聞ける場所を1つに決めます。集まった質問は、半年ごとの見直しで、ルールや例に反映します。

社内に出すときの一言

「このルールは、生成AIを使わせないためではなく、安心して使ってもらうためのものです」と、最初に伝えてください。ルールの受け止め方が、それだけで変わります。

ルールが定着したら、使われている業務と、かかった時間の変化を記録しておくと、次にどの業務へ広げるかを数字で決められます。

よくある質問

生成AIの社内ルールは、何から決めればよいですか?

入力してよい情報と、使ってよいツールの2つから決めてください。この2つで大きな事故はほぼ防げます。

社員が個人のアカウントで使うのは問題ですか?

問題になりやすいです。入力した情報が学習に使われる設定のことがあるため、会社で管理するアカウントに寄せてください。

顧客の個人情報を入力してもよいですか?

原則として入力しないでください。個人情報保護委員会も、利用目的の範囲や学習への利用に注意するよう求めています。

AIが作った文章をそのまま社外に出してもよいですか?

そのままは出さないでください。事実の誤りや、他人の著作物に似ていないかを人が確かめてから出します。

ルールはどのくらいの頻度で見直せばよいですか?

半年に1回を目安にしてください。ツールの機能や公的な指針が変わるたびに、内容を合わせます。

まとめ:A4 1枚から始め、半年ごとに育てる

生成AIの社内ルールは、完璧なものを最初から作るより、A4 1枚で始めて、半年ごとに育てるほうがうまくいきます。

  • 最初の週に決めるのは「使ってよいツール」と「入力してよい情報」の2つ
  • 情報は「公開してよい・社内・外に出せない」の3つに分けて、入力の可否を決める
  • 出力は人が確かめ、社外に出すときは責任者の確認を通す
  • 迷ったときの窓口を決め、報告した人を責めない
  • 半年に1回、ツールの設定と公的な指針に合わせて見直す

ルールができたら、次は「どの業務に AI を使うと効果が大きいか」を決める段階です。CONFLUX PARTNERS では、業務の棚卸しから、利用ルール、使い方の研修まで、AI コンサルティングとして一緒に進めます。

出典

  1. 01令和7年版 情報通信白書「企業におけるAI利用の現状」|総務省
  2. 02AI事業者ガイドライン(第1.2版)|総務省・経済産業省
  3. 03生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について|個人情報保護委員会
  4. 04AIと著作権について|文化庁

この記事を引用・紹介するとき

YW(CONFLUX PARTNERS)「生成AIの社内ルールの作り方|中小企業が最初に決める7項目と、A4 1枚の雛形」2026年10月7日公開、https://conflux-partners.jp/journal/generative-ai-company-rules

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