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03 ・ システム開発

SaaS開発の費用はいくら?売る前に見込む4つの費用と順番

公開:更新:執筆:AI が下書き監修:YW(CONFLUX PARTNERS)セブンセンシズ株式会社

真昼のマンハッタンの大通り。右手に鉄骨の高層ビルが建設されている。
AI で生成したイメージです。

ANSWER ・ 結論

SaaS開発の費用は、最初の版を作る開発費に、毎月の運営費・続ける改修費・売るための準備の費用を足した額で決まります。

対象読者この記事は、自社の業務で使っている仕組みや業界の知識を、SaaSとして他社に提供したい中小企業の経営者・事業責任者向けです

※ 2026年10月時点の情報です

システム開発の記事の全体は、システム開発の記事の一覧にまとめています。

このページの内容9 章
  1. 01SaaSの費用は業務システムと何が違うのか
  2. 02最初の版を作る費用には何が含まれるか
  3. 03公開した後に毎月かかる費用は何があるか
  4. 04ノーコード・外注・内製のどれで作るか
  5. 05売れるかを確かめながら最初の版を出す順番
  6. 06SaaSのプログラムの権利と税はどう決めるか
  7. 07相談の前にそろえる買い手の情報
  8. 08よくある質問
  9. 09まとめ: SaaS開発の費用は「最初の版」と「運営」で見る

社内で使う業務システムと違い、SaaSは他社に売るための機能と、売り続けるための運営が要ります。この記事では、4つの費用の中身と、費用を抑えて最初の版を出す順番を説明します。

※ 手数料と税の扱いは、各出典の確認日・基準日のものです。

SaaSの費用は業務システムと何が違うのか

SaaSの費用は「最初の版の開発費」「毎月の運営費」「続ける改修費」「売るための準備」の4つで決まります。開発費だけで予算を組むと、公開した後の支出が読めなくなります。

SaaSとは、インターネット経由でソフトウェアを提供し、利用者から月額などの利用料を受け取る形のサービスです。利用者は自分の端末に入れず、ブラウザから使います。

開発費の中心は、ほかのシステム開発と同じく人件費です。1人が1か月働く量を「人月」と数え、人月に単価を掛けて出します。たとえば3人で4か月かかる作業なら、12人月です。

業務システムとの違いは、作る量の中身にあります。SaaSでは、業務の機能に加えて、会員登録・権限・課金といった「売るための機能」も要ります。業務システムの費用の考え方は、業務システム開発の費用の内訳で詳しく説明しています。

最初の版を作る費用には何が含まれるか

最初の版の費用は「業務の機能」と「売るための機能」に分かれ、後者を見落とすと見積りが大きくずれます。相談の段階では業務の機能に話が集中しがちです。

SaaSの費用を最初の版・毎月の運営・続ける改修・売る準備の4つに分けた図

売るための機能として、最初の版に入れる主なものを表にまとめます。

売るための機能 何のために要るか 最初の版での考え方
会員登録とログイン 利用者ごとに入口を分ける 必須
会社ごとのデータの分離 ほかの会社にデータが見えないようにする 必須
権限の設定 管理者と一般の利用者を分ける 2種類から始める
課金と請求 月額の利用料を受け取る 決済サービスにつなぐ
運営者の管理画面 契約と利用状況を見る 最小限の表示から

表の5つのうち、とくに費用を左右するのは会社ごとのデータの分離です。1つの仕組みを複数の会社で使うため、ほかの会社のデータが見えない作りにする必要があります。最初の設計で決めておかないと、後から作り直す量が大きくなります。

私は2022年から2025年まで、AI・システム開発会社2社の代表取締役を務めました。開発会社として見積りを出す側から見ると、SaaSの相談で金額の幅が広がるのは、売るための機能がどこまで要るか決まっていないときでした。

公開した後に毎月かかる費用は何があるか

SaaSは公開した日から運営費がかかり、利用者が増えるほど一部の費用も増えます。最初の版の開発費と同じくらい、毎月の費用を先に見込むことが大切です。

動きを見る・問い合わせに答える・直す・出すを毎月繰り返す運営の図

毎月かかる主な費用は次の4つです。

  • サーバーの利用料: 利用者とデータの量に応じて増えます
  • 決済の手数料: 利用料を受け取るたびにかかります
  • サポートの手間: 使い方の質問や不具合の連絡に答える人の時間です
  • 保守の費用: 止まっていないかの見守りと、部品の更新です

決済の手数料は、売上に比例してかかります。Stripe の料金ページでは、国内のカード決済の標準料率は決済1回あたり3.6%です(2026年10月9日確認)。月額1万円で100社が使えば月の売上は100万円です。この場合、手数料は3.6万円になります。

サポートの手間は、見積りに入らないことが多い費用です。利用者が増えると、質問への回答に社員の時間が取られます。よくある質問をヘルプページにまとめる作業も、最初の版の準備に含めておくと負担が軽くなります。

安全の手当てにかかる費用

他社のデータを預かる以上、情報を守る手当ては欠かせません。総務省は2021年9月30日にクラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン(第3版)を公表しました。

このガイドラインは、提供する側と利用する側の責任の分け方を示しています。買い手の会社からどこまでを提供者が守るのかを聞かれたときに、答えを用意しておく材料になります。答えを用意する作業も費用として見込んでください。

続ける改修にかかる費用

SaaSは、公開した後も機能を足し続ける商品です。利用者からの要望は毎月のように届きます。要望にすべて応えると、改修の人月が積み上がります。

改修の費用を読みやすくするには、毎月の改修に使う人月の上限を先に決めておく方法が向いています。上限の中で、多くの利用者が求める要望から順に選びます。1社だけの要望は、その会社向けの追加の作業として別に見積もります。

部品の更新も、改修の費用に入ります。SaaSを作る部品には更新の期限があり、古いまま使い続けると安全の手当てが追いつきません。保守の契約に部品の更新を含めるかどうかを、最初に確かめてください。

売るための準備にかかる費用

開発の外にも、売り始めるための準備があります。利用規約とプライバシーポリシーは、利用者と結ぶ約束になる文書です。個人情報を預かる場合は、個人情報保護法に沿った取り扱いを書く必要があり、文面は弁護士に確認してもらうと安心です。

ほかにも、使い方を説明するヘルプページや、営業で見せる説明資料が要ります。どれも開発会社の見積りには入らないことが多いため、社内で作るか外に頼むかを決めておきます。

ノーコード・外注・内製のどれで作るか

SaaSの作り方は「ノーコード」「開発会社に頼む」「社内で作る」の3つで、事業の段階によって向くものが変わります。どれが安いかは、売れるかどうかが分かっているかで決まります。

ノーコード・開発会社に頼む・社内で作るの3つを費用と作れる範囲で比べた表
作り方 最初の費用 毎月の費用 作れる範囲 向く段階
ノーコードの道具 小さい 道具の利用料 狭い 買い手がいるか確かめる段階
開発会社に頼む 大きい(人月の積み上げ) 保守の契約 広い 売れると分かった後
社内で作る 社員の人件費 社員の給与 人による SaaSを事業の柱にする段階

判断の分かれ目は、次のように考えると決めやすくなります。

  • まだお金を払う会社がいないなら、ノーコードや手作業で同じ価値を届け、買い手を先に確かめます
  • 自社の業務で使っている仕組みを売るなら、今の仕組みを土台に、売るための機能を足す形で開発会社に頼みます
  • SaaSを会社の柱にすると決めたなら、最初は開発会社と組み、少しずつ社内に作り手を置きます

SaaSにしないほうがよい場合もあります。自社の中だけで使う仕組みなら、売るための機能は要りません。業務システムとして作るほうが、費用を抑えられます。

ノーコードで始めた場合は、乗り換えの時期も見込んでおきます。利用者が増えて道具の制限に当たったら、開発会社に頼む形へ移ります。移すときは、それまでに集めた利用者のデータを書き出せるかが大切です。道具を選ぶ段階で、データを書き出す機能があるかを確かめてください。

自社で使えるか、相談する →作りたいサービスと今の業務の流れをうかがい、最初の版で作る範囲と、費用・期間の目安をお伝えします。全国オンラインで対応します。

顧問パッケージの内容と料金を見る →ここまでの内容が自社に当てはまるか、確認しませんか。要件の確認だけでもご利用いただけます

売れるかを確かめながら最初の版を出す順番

費用を抑える近道は、業務の機能を1つに絞って最初の版を出し、利用者の使い方を見てから足すことです。最初から全部の機能を作ると、使われない機能にも人月を払うことになります。

進め方は次の4つの段階です。

  1. 買い手を確かめる: 数社に話を聞き、お金を払う理由がある業務を1つ選びます
  2. 範囲を決める: 業務の機能を1つに絞り、売るための機能を最小限に決めます
  3. 最初の版を出す: 数社に使ってもらい、使われ方を記録します
  4. 広げる: 使われた機能と要望を見て、次に足す機能を決めます

私たちが開発した「AIO(SEO)対策エージェント」と、株式会社モチクロと共同で開発した「ラクシフトAI」は、セブンセンシズ株式会社が提供しています。AIO(SEO)対策エージェントは、記事づくりの7工程を毎日自動で進めます。

作るときに決めていたのは、進める仕組みと止める仕組みを一組で作ることでした。たとえば品質の基準に届かない記事は、公開の手前で自動で止まります。利用者に届く前に止まる仕組みを最初の版から入れておくと、サポートの手間と直す費用が増えにくくなります。

AI を組み込んだサービスを考えている場合、AI の利用料の試算はAIエージェントの費用の内訳で説明しています。

SaaSのプログラムの権利と税はどう決めるか

見積りを頼む前に、権利の持ち方・税の扱い・作る範囲の3つを決めておくと、各社の見積りを同じ前提で比べられます。SaaSは自社の商品になるため、とくに権利の扱いが大切です。

先に決めておくこと: プログラムの権利を自社に残す

SaaSのプログラムは、自社が売る商品そのものです。契約に書いていないことは作った側に残る前提で、著作権とソースコードの引き渡しを契約書に書いてください。

私は契約書を読むとき、書いていないことは作った側に残る前提で読んでいます。権利の決め方は、システム開発を外注するときの著作権の決め方で項目ごとに整理しています。法律の個別の判断は弁護士に確認してください。

税の扱いも、予算の組み方に関わります。国税庁のソフトウエアの取得価額と耐用年数では、複写して販売するための原本は3年、その他のものは5年とされています(2026年4月1日現在の法令等)。自社のサーバーで動かすSaaSがどちらに当たるかは、顧問の税理士に確認してください。

先に決めておくとよい項目を表にまとめます。

決めておくこと 決めておくと何が変わるか
最初の版で作る業務の機能 各社の見積りが同じ前提になる
売るための機能の範囲 会員・権限・課金の作る量が読める
権利とソースコードの扱い 別の会社にも改修を頼める
公開後の保守の範囲 毎月の費用が読める
サポートを誰が受けるか 社内の手間を予算に入れられる

相談の前にそろえる買い手の情報

相談の前に、買い手の困りごと・今の仕組み・売り方の案の3つをそろえると、最初の打ち合わせで作る範囲まで話を進められます。資料が完璧である必要はありません。

  • 買い手の困りごと: 話を聞いた会社が、何に時間やお金を使っているかのメモ
  • 今の仕組み: 自社で使っている Excel や画面の見本(個人情報は伏せたもの)
  • 売り方の案: 月額にするか、利用者の人数で決めるかの考え

社内でどう使われるかの話になったら、AI を使う場合のルールも決めておくと安心です。社員向けのルールの雛形は、生成AIの社内ルールの作り方で紹介しています。

今日できる一歩は、SaaSにしたい業務を1つ選び、買ってくれそうな会社を3社書き出すことです。その3社に何を届けるかが、最初の版で作る範囲になります。

自社で使えるか、相談する →作りたいサービスの段階に合わせて、作り方と費用・期間の目安をお伝えします。ご契約を前提としたご案内ではありません。

よくある質問

SaaSを作る前に、売れるかどうかを確かめる方法はありますか?

あります。ノーコードの道具や手作業で同じ価値を数社に届け、お金を払うかを先に確かめる方法です。

開発会社に頼むと、どこまでしてもらえますか?

要件定義、設計、開発、テスト、公開の準備までを頼めます。公開後の保守や改修も契約に入れられます。

最初の版は、どのくらいの期間で出せますか?

作る範囲で変わります。業務の機能を1つに絞り、売るための機能を最小限にすると期間を短くできます。

SaaSにしないほうがよいのは、どんな場合ですか?

自社の中だけで使う場合や、買い手が数社に限られる場合です。業務システムとして作るほうが費用を抑えられます。

IT に詳しい社員がいなくても、SaaSを始められますか?

始められます。社内に要るのは、買い手の業務と困りごとを説明でき、何を作るかを決める担当者です。

まとめ: SaaS開発の費用は「最初の版」と「運営」で見る

SaaS開発の費用は、最初の版の開発費、毎月の運営費、続ける改修費、売るための準備の4つで決まります。業務システムと違い、会員・権限・課金といった売るための機能と、公開後の運営が要ります。

買い手を先に確かめ、業務の機能を1つに絞って出し、権利を自社に残す。この順番で進めると、費用を抑えながら売り続けられるSaaSにできます。ほかのシステム開発の記事はシステム開発の記事一覧にまとめています。

この記事を引用・紹介するとき

YW(CONFLUX PARTNERS)「SaaS開発の費用はいくら?売る前に見込む4つの費用と順番」2026年10月9日公開、https://conflux-partners.jp/journal/saas-development-cost

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